米経済は2023年と24年に警告されていた景気後退予想を無事乗り越えたが、再び不安な夏を迎えている。5月の米雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比13万9000人増加し、雇用の伸びは堅調だった。失業率は過去1年間、4%~4.2%の狭い範囲で推移する。だが水面下では亀裂が生じている。通商政策が絶えず変化するため、企業は将来の計画を立てるのが困難だと警告し、そうした環境が採用と投資の凍結につながっている。雇用の伸び鈍化と住宅市場の冷え込みを背景に、政策の不透明感が広がっており、米連邦準備制度理事会(FRB)は当局者が新たなインフレリスクを懸念しているため、昨年に比べて利下げへの慎重姿勢を強めている。