東京・原宿で開催したミラーレスカメラの新製品発表会。赤字脱出の救世主になるか
Photo by Hiroyuki Oya

 オリンパスがついに低価格帯のコンパクトデジタルカメラから撤退する。

 医療事業が好調なオリンパスにとって、悩みの種となっているのがデジカメを含む映像事業だ。2013年3月期の通期決算で、デジカメの販売台数は569万台と当初計画から約3割下振れ。映像事業の売上高1076億円に対し、営業損失は231億円に達し、3期連続で赤字となった。

 会社の“お荷物”状態となっている映像事業のなかで、笹宏行社長が「赤字の根源になっている」と指摘するのが、今回、撤退を決めた2万円以下のコンパクトデジカメだ。ただでさえ多いオリンパスのデジカメの在庫の「約7割を占める」(同社幹部)。

 13年3月末のオリンパスのデジカメの在庫評価額は236億円に上っている。

 1日の売上高の何日分の在庫を抱えているかを示す在庫回転日数は、12年6月以降は2.8~3.1ヵ月で高止まり。業界の適正水準とされる1.5ヵ月をはるかに超える。カメラ大手のキヤノンやニコンと比べると約1ヵ月分もの余計な在庫を抱えている。

10億円のシステムが大誤算

 なぜデジカメの在庫が積み上がったのか。

 その理由について、あるオリンパスの関係者は「11年に新しい需給予測システムを導入したせいだ」とぼやく。

 約2年をかけて導入したカナダのソフトウェア会社製のシステムにつぎ込んだ費用は約10億円。世界各地の販売会社や東京・八王子のオリンパスイメージング社の経営企画本部などに端末が設置された。営業現場の声をすぐに製造現場に反映し、在庫を削減することが目的だったという。