アメリカ商務省が6月10日に発表した貿易統計によると、アメリカの2009年4月の財サービスの貿易赤字は、対前月比7億ドル増の292億ドルとなった。新聞報道では、「2ヶ月連続で赤字が増大」としているが、【図表1】【図表2】に見るように、ここ数ヶ月の変動はさほど大きなものではない。むしろ、「昨年秋以降の急激な赤字減少が一段落し、赤字額は1年前のほぼ半分のレベルで安定的になった」と言うべきだろう。

【図表1】アメリカの貿易動向
出典:U.S. Census Bureau
【図表2】アメリカの貿易収支の推移
出典:U.S. Census Bureau

 昨年秋以降の世界経済の大変動を引き起こしたのは、アメリカ貿易赤字の減少である。これがさまざまの変化を引き起こした。日本の輸出はこれによって急減し、それが生産面での急収縮がもたらされた。また、アメリカの中国からの輸入が急減し、それが中国の日本からの輸入を急減させた。これによって日本の輸出減少が増幅されたことになる。

 アメリカ貿易収支の減少は、変化の規模でもきわめて大きかった。わずか半年の間に3000億ドル(約30兆円)にも及ぶ変動があったのだ。各国の経済刺激策は、見かけでこそこれと比較できる規模だが、それが本当に有効需要を拡大させているのかどうかは、疑問が大きい。これまでも計画されていた支出の再計上だったり、執行が先の時点になるなどの問題もある。また、単なる需要の入れ替えをもたらすだけで、需要全体を拡大することにはならない場合も多い。そうしたことを考えると、アメリカの純輸入が30兆円という規模で短期間のうちに収縮したことの意味は大変大きい。

 そして、そうした大変動が一段落し、安定的な動きになったことの意味も、大変大きい。