「真面目に仕事をしているのに、なぜか上司に評価されない…!」
あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人」の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化したロングセラーだ。発売直後から賛否両論を巻き起こし、「よくぞ言ってくれた」「暗黙知が“言語化”されている」「今まで気づいていなかった“新事実”」など大反響が集まっている。そんな「職場で実力を適切にアピールする“見せ方”の技術」をまとめた本書の中から「出世する人/しない人の特徴」についてお伝えする。

なぜ出世する人は「新人芸」に全力なのか?
あなたの会社には新人芸の文化はまだ生き残っているでしょうか。僕が勤めるメガバンクではコロナ禍で全滅したかと思いきや、一部の支店ではまさかの復活を遂げていると噂が聞こえてきます。文化としては否定する人もいますが、見る側としては今年の新人はどんな芸をしてくれるのかワクワクしてしまう人も少なからずいるはずです。新人なら「こんなことやる意味がない」と感じることもあるかもしれません。
新人芸は新人側にとってはやらされ感満載なイベントの一つですが、職場の出世する人は、こういった「しょうもないイベント」にも全力を尽くしています。
しかし、それはなぜなのでしょうか。今回は、新人芸に本気を出すような人が出世していく理由を解説していきます。
実は「新人芸」にはメリットがある
そもそも、新人芸の目的とは何でしょうか。僕は、新人芸自体はしょうもないとは思いますが、「やる意味」というか、「やる意義」自体は大きいと思っています。
新人芸には複数の目的があります。
一つ目は、同期間の団結です。新人芸をやるからには同期たちと協力しなければなりません。こういった連帯責任の業務を強制されることで、強い絆が生まれます。僕も入行して10年以上経ちますが、入行店の時の新人芸が話題になることがあります。
二つ目は、先輩や上司に対するマーケティング力の醸成です。新人芸をやるといっても、自分たちが好きなことをやればウケるかといったら大間違いです。年配の方たちもいる中で、盛り上げる必要があります。上の世代がどういったネタが好きなのかも確認しながら新人芸のネタを考えるアプローチは、将来年配とのお客さんとの接待でも役立つことがあります。
最後に三つ目は、先輩や上司たちからの評価です。新人芸は「面白いネタをやらなければいけない」というわけではありません。見られているのは、「新人芸」に対する姿勢です。新人芸を見たことがある人は、きっとその前の年やさらに前の年の新人芸と知らないうちに比較をしているはずです。その中で、人一倍頑張っている新人がいれば、ついつい職場ですれ違う時に声をかけたくなるというものです。
新人芸に本気になれる新人はその後の仕事でも先輩から可愛がってもらえることが多いですし、一生懸命な新人に文句を言うような先輩はそうそう多くはいません。
「全力を尽くす姿勢」を見せよう
こういった、新人芸をきっかけに他の人に認知してもらう効果は最初にうちは特に重要です。「あの芸をやっていた新人」や「本気で芸に取り組んでいた新人」というブランディングをしておくだけで、その後仕事での声かけが増え、困った時に助けてもらいやすい環境が生まれます。
ただし、気にしなければならないのは、新人芸の効果には賞味期限があるということです。2年目や3年目になっても社内イベントにばっかり本気な人は出世をしません。それはただのお祭り好きな社員です。
「新人芸」については賛否両論があることと思います。しかし、職場で「与えられた仕事に全力を尽くしている」姿勢を見てもらえるチャンスと言う意味では、やる意義はあるのではないかと、僕は思います。
(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の一部に基づき抜粋・編集・加筆した原稿です)