「全社員に買って配りました」
「入社する人への課題図書にしています」

そんな声が多数寄せられているのが、書籍『ベンチャーの作法 -「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』です。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験がある高野秀敏さんが、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめました。
シーリングライト一体型プロジェクター「popIn Aladdin」や、世界的ヒットとなった「スイカゲーム」の開発者であり、現在はヘルスケアベンチャーに挑む起業家・程涛さんも、本書に共感した読者のひとり。同氏からお聞きしたベンチャー企業のリアルや、『ベンチャーの作法』からの気づきを、数回の記事に分けて紹介します(ダイヤモンド社書籍編集局)。

経営者がこっそり敬遠する「頭はいいけど採用したくない人」のたった1つの特徴とは?Photo: Adobe Stock

最も「採用してはいけない人」とは?

――「ベンチャーに向いていない」と感じる人の特徴はありますか?

 やっぱり、ベンチャーはチーム戦なんですよね。もちろん、自分ひとりで成果を出せる能力があるのは望ましいんですが、それ以上にチームワークが重要です。
 その中で一番危険だと思うのが、「価値観が合わない人」です。

 採用の判断って、「能力が高いか低いか」「価値観が合うか合わないか」の2軸で見て、4象限に分けて考えるとわかりやすいんです。
 もちろん論外なのは、「能力が低くて、価値観が合わない人」です。でも、その次に避けたいのが「能力は高いけれど、価値観が合わない人」です。

 こういう人って、一見優秀だから評価されやすいんですが、じつは会社のカルチャーそのものを壊してしまうリスクが高い。いわゆる「空気を悪くする天才」みたいなタイプです。

「頭はいいけど合わない人」はかなり厄介

 むしろ、「能力はそこそこでも、価値観が合う人」なら、まだ伸びしろがありますし、一緒に成長できる可能性がある。もちろん、価値観も合っていて能力も高い人がベストですけど、その次に採りたいのは、このタイプです。

――「頭はいいけど価値観がズレている人」は、最終的に経営層と対立したり、社内で徒党を組んで分断を生んだりすることもあると聞きます。

 本当にその通りです。こういう人って、本人は正義感や合理性で動いているつもりなんですけど、結果として会社の足を引っ張ることがある。
 だからこそ、採用ではスキルや知識以上に、「カルチャーフィット」や「価値観の共有」が大事だと痛感しています。

「評論家タイプ」は最初から採用しない

『ベンチャーの作法』で出てくる“評論家タイプ”の人って、まさにこの価値観が合わない人のことだと思います。口ではいろいろ言うけど、手は動かさない。そういう人は、最初から採用しないようにしています。

 過去には価値観がミスマッチな人を採用してしまった経験もありますが、あれは本当に大変でした。
 二度と繰り返さないように、今は採用の段階でかなり慎重に見ていますね。

経営者がこっそり敬遠する「頭はいいけど採用したくない人」のたった1つの特徴とは?程涛(てい・とう)
issin代表取締役CEO
2008年、東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻の修士課程在学中に、研究成果のpopIn(ポップイン)インターフェースを元に、東大のベンチャー向け投資ファンドの支援を受けて、popInを創業。2015年に中国検索大手のBaiduと経営統合、2017年に世界初の照明一体型3in1プロジェクター popIn Aladdin(ポップイン アラジン)を開発し、異例のヒット商品となった。2021年issinを創業、スマートバスマットを商品化。2022年、popIn代表を退任。

(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)