苦渋の決断の先にある「未来志向の成長」
事業の見直しや損切りは、一時的には痛みをともなうものです。しかし、その痛みは、未来を切り開くために必要な「通過儀礼」ともいえます。
現状維持を選んだ結果、じわじわと衰退していくリスクと比べれば、前を向いて戦略を変えることのほうが、はるかに希望があります。
未来を見据えて事業構造をスリム化し、新たな柱を模索することが、企業が次の成長ステージに進む鍵となることもあるのです。
損切りの先にこそ“本当に守るべきもの”が見えてくる
事業の一部を手放すことは、過去の努力や関係性を否定するようでつらいものです。しかし、リーダーには、組織全体の命運を見据えて「何を残すべきか」を見極める目が求められます。
大切なのは、目先の情に流されず、本当に守るべき“顧客”“価値”“未来の従業員”を見誤らないこと。
その視点があれば、一時の対立や痛みも、いずれ組織全体を守る判断だったと証明されていくでしょう。
周囲を巻き込む「説明責任」と「対話力」が試される
改革や損切りには反発もつきものです。だからこそ、リーダーには「なぜその判断が必要なのか」「どんな未来につながるのか」を語る責任があります。
特に、長年ともに歩んできたメンバーほど、感情的な反発を抱きやすいもの。だからこそ、論理と情熱の両方をもって、真摯に対話する姿勢が欠かせません。
「相手に納得してもらうこと」を目的とするのではなく、「組織の未来のために、率直に話し合うこと」を恐れない姿勢こそが、真のリーダーシップです。
判断に迷ったときは「時間軸」をずらして考える
リーダーとして悩んだとき、視点を「5年後」「10年後」に置いて考えてみましょう。いまの決断が、未来の社員や顧客、株主にとってどう映るかを想像するのです。
その時間軸で見たときに、「ここで踏み切ってよかった」と思える判断なら、たとえ一時的な痛みがあっても、胸を張って進むべきです。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。