この研究では、MVPAの影響などを除外して、LPAの影響を検討しています。
図4-22は、年齢階層別、男女別、心肺体力別にLPAとインスリン抵抗性指標(HOMA-R)の関係を示しています。

拡大画像表示
若年齢層、男性、そして高体力者では、LPAとHOMA-Rとのあいだに関連性は認められませんでしたが、中高年齢層、女性、そして低体力者においては、LPAが多いほど、顕著にHOMA-Rが低い傾向が認められました。
そこで、図4-23のように、中高年の低体力である女性に焦点を当てて、LPAとHOMA-Rの関係を検討してみると、明らかな関係性が認められました。家事や散歩などのLPAが、低体力者に健康効果をもたらすことを示唆する結果といえます。

拡大画像表示
男女ともシニアになると、筋肉量の減少が顕著になり、日常の身体活動量も減少し、心肺体力が低下します。シニアでは、ウォーキングはよく行われていますが、ジョギングやスイミングなどのやや強度の高い運動はあまり行われていません。

しかし、もっと積極的に、より強度の高い有酸素運動を加えてほしいと思います。レジスタンス運動(筋トレ)を日常生活に取り入れて、筋肉をよく動かせば、シニアになっても糖代謝機能を保持・向上させることができ、糖尿病の予防につながります。2型糖尿病の原因は、「筋肉が糖を使いづらくなってしまうこと」なのですから。