対象者は中高年女性約1万人で、クラブ参加日数で、4グループに分けて、2型糖尿病の発症率が検討されています。その結果、週に1~2回ではあまり効果がありませんでしたが、週に3回以上の参加頻度だと、2型糖尿病の発症が40%程度低下することが明らかになりました(図4-20)。

図表5:中高年女性のトレーニング頻度と糖尿病罹患率の関係同書より転載
拡大画像表示

 また、私たちの研究グループは、心肺体力と筋量を組み合わせて、糖尿病の有病率を検討しました。その結果、図4-21に示すように、全身持久力と筋量のどちらも低いグループを基準としてくらべると、心肺体力が高く、筋量も多いグループでは、糖尿病の有病率がとても低くなっていることがわかりました。

図表6:心肺体力と筋量の組み合わせと糖尿病有病率の関係同書より転載
拡大画像表示

 この研究からも、糖尿病予防には筋肉を動かすことがとても大切であることが明らかになっています。

中高年の低体力女性は
家事や散歩が健康に有効

 ここまで、糖尿病対策としての中・高強度の身体活動・運動(MVPA)の大切さをお伝えしてきました。他方で、低強度の身体活動(LPA)の健康効果はどうでしょう。ゆっくり歩くウォーキング(散歩)や家事などに代表されるLPAの効果は、どのようなものなのでしょうか。

 国立健康・栄養研究所で丸藤祐子博士(現:駿河台大学准教授)らが、精度の高い身体活動量計を用いて、LPAの健康効果を検討した研究を紹介します。