“職場”という存在は、本当に不思議な存在です。家と同じように、「いってらっしゃい」と言って送り出し、「お帰りなさい」と言って迎える職場があれば、お互いに声をかけることなく、誰がいつ出社したのか、退社したのかさえわからない、そんな職場もあります。
気がつくと、職場が1つの空気というか、独自の雰囲気を作り出し、それが社員1人ひとりの意識や行動に影響を与えてしまう。イライラする人を増やしたり、委縮する人を増やしたり、逆に前向きな人を増やしたり、暖かくてやさしい人を増やしたり――。
ミドルマネジャーである皆さんだけでなく、職場に関わる全ての人たちにとって、職場がどのような存在であるかは、仕事人生を楽しく、豊かなものにできるか否かを大きく左右してしまいます。
この“職場”というものが、どうもおかしい。全体に何かイライラしていおり、元気をなくしている。そう思ったとき、ミドルマネージャーである皆さんは、どうすればよいのでしょうか。何から手をつけたらよいのでしょうか。
このとき考えていただきたいのが「組織感情」、すなわち「職場の感情」というものです。多くの方々にご愛読いただいた『不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか』(講談社刊) の解決編として、この9月下旬に『職場は感情で変わる』(講談社刊)という本を上梓せていただきました。
今回はこの本のエッセンスを紹介しなら、皆さんと一緒に「職場の変え方」を考えたいと思います。
悩んでばかりいずにまずは分析を
あなたの職場、どんな職場ですか?
ミドルマネジャーの方からすると、自分の職場がどんな雰囲気か、どんな感情が広まっているかを知ることは、少し怖いことだと思います。何故なら、皆がイライラしていたり、元気をなくしていたら、それは「自分が悪いからだ」「自分のマネジメントが悪いからだ」と言われているように感じてしまうからではないでしょうか。
確かに、皆さんの感情や行動は、組織全体の感情に大きく影響を与えます。経営者や上長の指示に振り回され、その苛立ちを部下に伝えていたら、イライラした感情が組織全体に広がってしまうかもしれない。逆に、自分が元気をなくし、部下との対話も減り、疲れた顔ばかりしていたら、部署全体も沈滞ムードに包まれてしまうかもしれない。