「客を借金漬けにして風俗で稼がせる」悪質ホストの卑劣なマインドコントロール術増加する歌舞伎町のホストクラブ 撮影:富岡悠希

若い女性を風俗店勤務に追い込む「悪質ホスト」が社会問題となっている。ホストに対して多額の売掛を抱えてしまい、その支払いを迫られる女性が後を絶たない。18、19歳の被害者も増えているという。その支援を担う「青少年を守る父母の連絡協議会」(略称・青母連/せいぼれん)には、今夏の設立以来、相談の電話が絶えない。新宿区歌舞伎町で21年にわたって相談対応をしてきた「日本駆け込み寺」創設者で青母連の代表を務める玄秀盛さん(67)に、ホストの悪質な手口や「売掛金禁止条例」の必要性について話を聞いた。(取材・文/ジャーナリスト 富岡悠希)

統一教会と悪質ホスト
問題の根っこは同じ

——悪質ホスト問題への報道が増える中、青母連の活動は今、どうなっていますか?

 7月20日に設立して以降、電話相談は150件、面談は50件を超えた。今もそこの電話がなっているでしょう。ほとんどが青母連への連絡で、今も応対者が別の場所で話を聞いているところです。

 全国から電話がかかってきます。「娘がホストにハマり、900万円の売掛がある」「ホストに貢ぐために、娘が風俗で働くというのを止めたい」。相談はこうした切実な内容ばかりです。青母連の立ち上げとメディアの報道が重なったこともあり、まさにパンドラの箱が開いたように感じています。

 さらに言うと、最近起きた二つの大きな事件で、ようやく「悪質ホスト問題」が社会問題として認知されるようになってきました。

20年以上にわたって歌舞伎町で活動してきた玄秀盛さん 撮影:富岡悠希20年以上にわたって歌舞伎町で活動してきた玄秀盛さん
撮影:富岡悠希

——二つの事件とその影響とは、どのようなものなのでしょうか?

 キーワードは、「マインドコントロール」。最近でもよく耳にするやろ?安倍晋三元首相への襲撃事件から表面化した「旧統一協会問題」と根っこは一緒や。不幸なテロ事件で表に出てきた宗教のやり方と、ホストの手口がまさに同じだと、我々は気づくことができました。

 ホストは若い女の子を、あの手この手でマインドコントロールしようとします。そして、中絶や過剰な風俗店勤務を強いるなどの性加害に加担しているのです。

 この春、俺は1冊のノートを手に入れた。そこにはホストの新人研修で講師のホストが語ったホストの心得やテクニックが、4ページにわたってメモされていました。客の女の子に対して精神的な「鎖をかける」とか、言葉の「地雷をおく」といったテクニックで客を「マインドコントロール」状態に陥れるとハッキリ書いてあります。つまり、客に正常な判断をさせないという手法が横行しているわけです。