さまざまな企業や商品とコラボすることから“仕事を選ばない”と言われることも多いハローキティ。実は、その裏には緻密な戦略があります。サンリオの成功を支える独自のビジネスモデルと、キャラクター戦略の変遷から、ユニークなサンリオのキャラクタービジネスの本質を探ります。(グロービスAI経営教育研究所 所長/グロービス経営大学院 教員 鈴木健一)
最強の“カワイイ”キャラクター
「ハローキティ」
みなさんは、ハローキティが誕生して今年で何年かご存じですか?
実はハローキティが誕生したのは1974年。今年でハローキティは50周年を迎え、記念のコラボやイベントが展開されています。
公式プロフィールでは、11月1日生まれで、『本名はキティ・ホワイト。生まれた場所はイギリス ロンドンの郊外。身長はりんご5個分。体重はりんご3個分。明るくてやさしい女のコ。』とのこと。身長も体重もなぜかりんご単位になっています。
ハローキティに関するX(旧Twitter)での投稿にどんな言葉が使われているか、ワードクラウドで見てみましょう。形容詞に注目すると、圧倒的に【かわいい】という表現が多いことが分かります。いまや世界に広がった“カワイイ(kawaii)”文化の代表選手と言えるのではないでしょうか。
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ユニクロ、ナイキ、アディダスなどのアパレル企業や、マクドナルドなどの飲食企業をはじめ、世界を舞台に積極的にコラボを行っているハローキティ。ビジネス面でも大活躍している様子がうかがえます。
世界的にもユニーク!
サンリオのキャラクタービジネス
そんなハローキティを生み出したサンリオですが、同社の業績は決して順風満帆とは言えませんでした。最高益となった2014年3月期以降、7期にわたって減収減益が続き、21年3月期にはついに営業赤字に転落するなど、一時は低迷しました。
しかし21年3月期を底にV字回復を果たし、24年3月期は売上高999憶円、営業利益は269憶円と過去最高だった210憶円(14年3月期)を超え、足元では好調です。
サンリオの事業の中心は、もちろんキャラクタービジネスです。自社で企画したグッズを売る「物販」、キャラクターの利用に応じてロイヤリティー(版権料)を得る「ライセンス」の2つがキャラクタービジネスにおける主たる収入源となります。
実はサンリオは、同じく世界的なキャラクターを擁するバンダイナムコホールディングスやディズニー(ウォルト・ディズニー・カンパニー)と、異なる売り上げ構造を持っています。