「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「ちょっといいですか?」と話しかけられたとき、頭のいい上司はどう返す?Photo: Adobe Stock

声をかけられるタイミングは「信頼のサイン」

 部下や同僚から「ちょっといいですか?」と声をかけられたとき、多くの上司は「今は忙しい」と感じがちです。

 しかし、この一言は、単なる会話の導入ではなく、「今のあなたなら話を聞いてくれそう」という信頼のサインであることを忘れてはいけません。

 上司として求められるのは、その信号にどう反応するかです。

忙しさを言い訳にすると、機会を逃す

 多くの人が、「後でね」と返しがちですが、それは部下にとって“拒絶”に聞こえることもあります。
 特に、日頃あまり話さない相手ほど、この一言を口にするまでにエネルギーを使っています

 そのタイミングで断られると、「次からはやめておこう」となってしまい、報告や相談のタイミングが遅れがちになります。

頭のいい上司はこう返す

 余裕がない状況でも、頭のいい上司は次のように返します。

「今少し立て込んでるけど、あと10分後でどうかな?」
「2~3分なら大丈夫。手短に聞かせてくれる?」
「内容によるけど、急ぎそう? 少しだけ話そうか」

 このように、相手の意欲を尊重しつつ、自分の状況も調整していく言い方を選ぶことで、相談のハードルを下げつつ、実務にも支障を出しません

対話の姿勢が、信頼を形成する

「ちょっといいですか?」という声が多い職場は、心理的安全性が確保された状態にあります。
 逆に、この一言すら出てこない職場は、上司が壁になっている可能性が高いです。

 そのため、話しかけやすさは成果と無関係ではなく、チームの状態を映す指標でもあります。
 上司としては、すべてを聞く必要はなくても、聞く姿勢だけは見せ続けるべきです

仮面をかぶってでも、声を受け止める

 上司にも忙しいときや、気が進まない瞬間があります。

 しかし、その都度態度に出してしまうと、職場の空気はすぐに変わってしまいます。
 だからこそ、仮面をかぶって「まずは聞こう」という姿勢を保つことが大切です

 人の話を遮らず、耳を傾ける
 その積み重ねが、信頼という最大のマネジメント資産を育てていきます。

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計170万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。