
生活用品業界では長らく資生堂の経営不振が続いている。好調な花王、ユニ・チャームと対照的だったが、資生堂の四半期増収率は2四半期連続でプラスを記録。回復の兆しが出てきたのだろうか。一方、優等生だったユニ・チャームは減収減益に。生活用品の大手3社が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、現在の状況を分析した。(ダイヤモンド・ライフ編集部 松野友美)
3社とも増収率はプラス
資生堂は業績回復なるか?
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前期比で増収率を算出した〈増収率の算出方法は、〔2025年12月期第1四半期売上高−2024年12月期累計売上高(1)〕/〔2024年12月期第1四半期売上高−2023年12月期累計売上高〕〉。前期比の増収率を見ることで、3カ月ごとの売り上げの進捗を把握することができる。
今回の対象は以下の「生活用品」業界3社。対象期間は2025年1~3月の第1四半期だ(3社いずれも25年12月期決算)。
各社の前四半期の売上高に対する直近四半期の増収率は以下の通りだった。
・花王
増収率:6.2%(25年12月期第1四半期の売上高は3899億円)
・資生堂
増収率:5.4%(25年12月期第1四半期の売上高は2282億円)
・ユニ・チャーム
増収率:7.9%(25年12月期第1四半期の売上高は2275億円)
なお、3社が公表している最新決算では、売上高は前年同期比で花王が6.6%増、資生堂が8.5%減、ユニ・チャームは3.7%減だった。花王だけ好調な滑り出しである。
※コア営業利益とは各企業が独自に開示する段階利益で、一般には営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失・買収関連費用等、非経常的な要因による損益を除いた“おおむね本業による利益”のこと。ユニ・チャームのコア営業利益は売上総利益から「販売費及び一般管理費」を控除した、ユニ・チャームの独自指標となっている。
近年の決算では花王は好調さを維持しており、資生堂の不振が目立っていた。また、これまで優等生だったユニ・チャームは減収減益となっている。第1四半期に何が起きたのか。各社の状況を次ページ以降で詳しく解説する。