
現在の米株式相場について単純な説明は簡単にできる。しかし、それは間違いだろう。
単純な説明とは、巨大テック株が復活したというものだ。マグニフィセント・セブン(超大型7銘柄、M7)は、関税や戦争、そして米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任に近づいたという事態を受けて、世界の時価総額上位銘柄が急落する中で失速した。だが、ここにきて持ち直し、27日には米国とカナダの貿易摩擦が再燃したにもかかわらず、S&P500種指数とナスダック総合指数は共に過去最高値を一気に更新した。
実際はもっと微妙だ。S&P500種指数が前回、最高値を付けた2月19日以降、大型株の中で上昇率が最も高かったのは、最も地味な企業であるディスカウントストアだった。急落と反発を通して見ると、M7はスリーピー・セブン(眠れる7社)と呼ぶべきだ。テック銘柄内の様相も以前とは異なる。
S&P500種指数が前回の最高値を付けた後の値動きは、投資家に重要な示唆を与えている。
まず、2月19日以降に最も好調だった銘柄は、ディスカウントストア運営大手の ダラー・ゼネラル で、約50%上昇した。これは特異な例ではない。同業 ダラー・ツリー の上昇率は約30%で、同指数構成銘柄で13位となった。これらは、AI(人工知能)関連銘柄の動きと正反対とまではいかないが、投資家が再び注目し始めたグロース株の動向とは対極にある。