心が壊れたくなかったら、真っ先にやめたほうがいい習慣とは?
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【精神科医が教える】心が本当にしんどいときは「無理に頑張る」のではなく、どうすれば心が鎮まる?Photo: Adobe Stock

人生が本当に辛かったとき、私がしていたこと

今日は、「人生が本当に辛くなったとき、どう過ごせばいいか」についてお話ししたいと思います。

一番辛かったのは、大切な人を失ったとき

これまでの人生でもいろんな辛いことがありましたが、一番辛かったのは、身近な人が亡くなったときです。父が亡くなり、その後、パートナーも他界しました。

ちょうどその時期に私はクリニックの開業を控えていて、仕事も忙しくなってしまい、余裕がまったくなくなっていました。そして、ようやく少し落ち着いてきた頃、私はうつ病を発症しました。

当時は、「仕事をしなきゃいけない」でも「気持ちは追いつかない」……そんな状態が続きました。特に30代は、本当にギリギリの毎日を過ごしたこともありました。

正直に言うと、ここでは書けないようなこともいろいろと起きました。うまくいかないことが次々と重なり、「もうダメかもしれない」と思ったこともあったくらいです。

気持ちが少し動いたのは、「自然」の存在でした

では、そんな中で私がどう過ごしていたかというと、とってもシンプルなことなんです。

気持ちのよい天気の日に「気持ちがいいな」と感じられたら、外を散歩するようにしていました。散歩に出られない日でも、窓を開けて外の様子を眺めるようにしていたのです。

そう、私が見よう、触れようとていたのは、自然でした。

鳥のさえずり、風の音、空の青さ、雲の形、雨上がりの濡れた緑の色……それらをぼーっと眺めているだけで、「あぁ、世界って、やっぱり綺麗なんだな」と思える瞬間があったのです。

「変わらないもの」があるという安心感

私は田舎育ちだったので、大きな木を見上げたり、草花の香りを感じたりと、子どもの頃から自然と触れ合ってきました。

人生がぐちゃぐちゃでどうしようもないときでも、「自然」はそこにあるんですよね。

「昔もあった、今もある、きっとこれからもある」。そう思えると、少しホッとするんです。

世界は変わらず、美しくある

私たちが抱えている苦しみは、人間社会の中で生まれた、さまざまな事情やしがらみから来ています。でも、それとは関係なく、世界は今も昔も、変わらず美しくて静かなんです。

「この大変な時期も、いつかは終わる」
「自然は変わらずそこにある」
そう思えたとき、ほんの少しだけ、気がラクになりました。

散歩ができなくても、「空」を見上げてください

体力や気力がないときは、無理して外に出なくてもいいと思います。でも、少しだけ窓を開けてみてください。空を見てみてください。風の音を聞いてみてください。

自然の中には、「何も変わらないもの」がたくさんあります。それを見つけるだけで、ちょっとだけ心が癒されるはずです。

すべてを今すぐなんとかしなくていい

そして、もうひとつ大切なのは、「今すぐ目の前のことを全部なんとかしようとしなくてもいい」ということ。

「なんとかしたい」という気持ちがあるのなら、それで大丈夫。時間が経てば、きっと少しずつ前に進んでいけます。

楽しい時期が永遠に続かないように、辛い時期も永遠には続きません。やがて、「この世界ってやっぱり美しいな」と、心から感じられる日がまたきっと来ます。

それまで、どうか焦らず、そしてご自身を責めずに。自然の中に、あなたを癒す力は必ずあります。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。