2025年7月3日に鹿児島県十島村の悪石島で震度6弱の地震が発生。地震災害への不安が高まっている。南海トラフ地震への緊張感も高まるなか、断片的な防災知識ではなく最先端の科学技術や専門家の知見に基づいた正しい防災知識を身につけたいと考える人も多いのではないだろうか。
本記事では、池上彰総監修『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)から、「海の近くで地震に遭遇したときの対処法」を紹介する。
(構成/ダイヤモンド社 金井弓子)

【大地震が起きたら】海辺の地震、一瞬の判断で生死を分ける行動とは?Photo: Adobe Stock

海の近くで大地震が起きたら、家族や友達を待たず高いところに逃げる

海の近くにいるとき、突然地震が起こったら……。あなたは冷静に対処できますか?

海ぞいで地震が起こると、すぐに津波が来る可能性があります。
ゆれを感じたら、家族や友達を待たず、ひとりでも海の反対方向に向かって走って逃げましょう!
高台がある場合は、そこに向かいます。高台がない場合は、5階建て以上の高い建物の一番上の階に逃げます。

【大地震が起きたら】海辺の地震、一瞬の判断で生死を分ける行動とは?『いのちをまもる図鑑』本文より イラスト:五月女ケイ子
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様子見や家族への連絡はNG!

やってしまいがちなNG行動は、その場で「様子見」をすること。津波はとても速いです。地震が発生してから津波が海岸に到達するまでは、早ければ数分しか時間がないこともあります。津波が見えてから避難すると追いつかれてしまうので、ゆれがおさまったら即、避難を開始しましょう。

家族や友人に連絡して無事を確かめたい気持ちも、ぐっとこらえて避難を優先して。電話をかける時間があるなら、少しでも早く高いところへ逃げましょう。そもそも、大きな地震の直後はみんな電話どころではない状態。連絡は地震や津波が落ち着いたあとでします。

地震が起きたら「津波てんでんこ」

2011年に起きた東日本大震災では高さ16.5m以上の津波が記録されました。これは鉄筋コンクリートのビルも破壊する威力です。

この震災では2万人以上の人が亡くなりましたが、自分で高台まで逃げた小中学生全員の命が助かった岩手県釜石市では、ふだんから「津波てんでんこ(津波が来たら、てんでんバラバラにひとりでも逃げろ)」という避難訓練をしていました。

海ぞいに住んでいる人や海に行く人は事前にハザードマップで安全な場所を調べておき、地震が起きたらひとりでもすぐその場所に逃げることが重要です。

(本稿は、池上彰監修『いのちをまもる図鑑』の内容を、抜粋・一部編集した記事です)

『いのちをまもる図鑑』第2章監修者
国崎信江(くにざき・のぶえ)

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表
女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。国や自治体の防災関連の委員を歴任。『10才からの防犯・防災』(永岡書店)や『おまもりえほん』(日本図書センター)などの監修もつとめる。