『おじいちゃんが教えてくれた 人として大切なこと』という本が、今注目を集めている。手の付けられない乱暴な子に育った著者が、思春期におじいちゃんに教わった「人生の教訓」をつづった一冊だ。実は、この「おじいちゃん」とは、かの有名なガンジーのことなのだ。12歳だった孫の人生を変えたガンジーの教えとは何か。今回は、本書より「幸せを感じる生き方・考え方」について触れた一節を紹介する。

「足りないもの探し」が幸せを遠ざける
インドには現在でも、ほとんどのアメリカ人よりはるかに貧しい暮らしをしている家族がたくさんいる。しかし、すでにあるものへの感謝の気持ちは、アメリカ人よりもずっと大きい。
私たちはもしかしたら、ものを持ちすぎることで、自分の感謝の感受性を鈍らせてしまっているのかもしれない。
これではまるで、人生のすべてが食べ放題のビュッフェになってしまったかのようだ。たくさん食べることに夢中になるあまり、みずみずしいリンゴのおいしさを味わうことができずにいる。
たしかに私たちのほとんどは、バプジ(インドで「祖父」を意味する言葉。ここではガンジーを指す)のように極限まで簡素な生活を送ることはできないだろう。それでもバプジをお手本にして、「少ないことはいいことだ」という精神を取り入れることならできる。
ものを少なくして、気の散るものも少なくすれば、感謝の気持ちは大きくなる。本物の幸せも増えるだろう。
「今、自分のまわりにあるもの」に感謝しなさい
感謝するものなんて見つからないという人は、自然と感謝できるようになる簡単なステップを教えよう。
一日のうちで、ふと立ち止まって周りを見渡し、朝の太陽、道ばたの花、子どもの笑い声など、そこにあるものに感謝する。自分の人生を外側から眺め、そして世界中の恵まれない人たちのことを考える。きっと彼らは、あなたのような人生が手に入るなら大喜びだろう。
または、家族や友達のいいところ、感謝しているところをすべてリストにする。そのリストをひきだしにしまい、自分の恵まれた境遇を忘れそうになったら、ひきだしを開けてリストを見る。そして、感謝の気持ちは外側からではなく、自分の内側から生まれるということを思い出す。
すでに持っているものに感謝せず、持っていないもののことばかり考えるのは、自分に対する暴力だ。
人生で感謝の気持ちを増やせば、態度が変わり、世界を見る目も変わるだろう。
(本記事は、『おじいちゃんが教えてくれた 人として大切なこと』(アルン・ガンジー著、桜田直美訳)の一部を抜粋・編集したものです)