うなぎの蒲焼きと日本酒写真はイメージです Photo:PIXTA

うなぎをつまみながら美味しくお酒を飲むイロハを、「うなぎ大好きドットコム」を運営する筆者が披露します!
※本稿は、高城 久『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

カブト、ヒレ、バラ、レバー、ホネ

 カブト、ヒレ、バラ……そう。これみんな、うなぎの部位です。うなぎは、嘴(くちばし、あごの骨)以外は捨てるところがありません。肝吸すい、肝焼やきは、胃をはじめとする内臓を使っているのはよく知られていますが、実はほかにもおいしい部位がいろいろあります。

 カブトは、うなぎの頭です。脂のりも良く、うま味が凝縮されていますが、骨が硬いのが難点。もし手に入って家庭で食べる機会があれば、圧力鍋を使ってうなぎのたれで煮込んでください。うなぎの「かぶと煮」は絶品です。関西では、うなぎのカブトは半助(はんすけ)といいます。関西風の蒲焼は頭をつけたまま焼き、後で頭を落とします。その頭とともに豆腐を煮込んだ「半助すけ豆腐」は上方落語「遊山船」にも登場する大阪庶民の味です。

 ヒレは、うなぎの背びれです。関東の背開きでは取り除く部分です。うなぎ串焼屋(通称うな串屋)では、10匹分のヒレを巻いて串焼きにします。アクセントにニラを芯にする店もあります。コラーゲンたっぷり。脂のうま味が楽しめます。

 バラは、中骨についた身の部分。マグロの中落ち、牛のカルビに相当する部分で、うな串の人気メニューです。茹でて、さっぱりとポン酢をかけて出す店もあります。

 レバーは肝臓。丁寧な店は、1匹に1つしかないレバーを10匹分ほど串に刺して「レバーの串焼」として提供します。超レアなので売り切れ必至です。

 ホネは、うなぎの中なか骨ぼねのこと。ホネをカリカリに揚げた「骨せんべい」はお酒のアテに最高です。骨せんべいを作る時は、骨についた内臓や血をきれいにしますが、コラーゲンたっぷりなので、下拵えを終えた職人の手はツルツルすべすべになります。

 うなぎは待つもの。うなぎが焼けるまでの小一時間、これらを肴に一杯やる時間を「うなぎ前(まえ)」「うな前」と言ったりします。捌きたてにこだわる店では、「このうなぎを捌きますよ」とまずうなぎを見せてくれて、「骨せんべい」と、肝にわさびを添えた「肝わさ」をうなぎ前に出してくれます。これらの部位を一度に味わえるのがうな串屋です。