スマホ、ネット、SNS……気が散るものだらけの世界で「本当にやりたいこと」を実現するには? タスクからタスクへと次々と飛び回っては結局何もできない毎日をやめて、「一度に1つの作業」を徹底する「一点集中」の世界へ。18言語で話題の世界的ロングセラーの新装版『一点集中術――限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』より、特別に一部を紹介する。

【もうやめたい!】「毎日の時間がムダになり、頭が悪くなる」最悪の習慣・ワースト1Photo: Adobe Stock

これで時間を失い、知力も落ちる

 マルチタスクをこなそうとすると、瞬時――0.1秒未満――に集中する対象を切り替えるよう、脳が強要される。すると遅れが生じ、切り替えのたびに集中力が落ちる。

 こうしたことが積もり積もると、貴重な時間が無駄になるうえ、知力が衰える。マルチタスクをしようとすると、かならず落とし穴にはまるのだ。

 それがわかっていながら、なぜ私たちは、またぞろマルチタスクをしようと無為な努力をしてしまうのだろう?

 第1の理由は、なんといっても、私たちが四六時中、おびただしい量の「邪魔物」に取り囲まれているということだ。テレビを観ているときでさえ、画面の下方には、ほかの番組を宣伝する文字が躍っているのだから。

人は「目新しいもの」に注意を向けてしまう

 マルチタスクの誘惑に負ける理由はほかにもある。

「目新しさ」への渇望だ。

 マルチタスクが間違っていることは承知のうえで誘惑に屈服するのは、私たちが目新しさを求めるからだ。外部からの刺激が現状に変化を起こすと、そうした変化がよいものと認識されようが、悪いものと認識されようが関係なく、アドレナリンが血流を駆けめぐる

 すると、人は目の前にあるタスクより、新たなタスクのほうに注意を向けたくなってしまうのだ(※1)

 だが、防御策はある。

 脳の前頭前野の監視システムは、無関係な情報が流れ込んでくるのを制御する機能をそなえている。この監視システムが、どの情報が無関係で、どの情報に注意を向ければいいかを判断してくれる。

 気を散らす要因を減らす術を身につければ、私たちは本来の目標を達成することができる

 そのうえありがたいことに、これは習得可能な技術である。

(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術――限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』からの抜粋です)

※1. Gregory Berns, Satisfaction: The Science of Finding True Fulfillment (New York: Henry Holt, 2005), 43. 邦訳『脳が「生きがい」を感じるとき』(グレゴリー・バーンズ著、野中香方子訳、NHK出版、2006年)