米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを強く迫っているドナルド・トランプ米大統領は、「インフレは起きていない」と主張している。しかし、インフレの現実を否定しても現実は消えない。先月の消費者物価指数(CPI)の上昇が示すように、トランプ氏の関税のせいで、同氏が望むことをFRBが実行するのが難しくなっている。米労働省が15日発表したCPI統計によれば、6月のインフレ率(CPI上昇率)は前月比で0.3%、前年同月比で2.7%と、いずれも前月から上昇した。インフレが賃金の上昇分を侵食し、実質平均時給は0.1%減少した。実質平均週給は0.4%減、製造業従事者では0.6%減となった。これは労働時間の減少によるもので、その原因は恐らく景気の減速と労働市場の鈍化だろう。
【社説】米消費者物価を直撃したトランプ関税
6月のインフレ率上昇で7月利下げは見送りの公算
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