「仕事は、結果がすべてだ」
いま、そんなメッセージを伝える本が注目されている。それが、ビジネス書『ベンチャーの作法』だ。ベンチャー転職支援のプロであり、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験がある高野秀敏氏が、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた。時代と逆行するようなストイックな内容だが、「今の時代に、ここまで忖度なく本質を教えてくれる本はない」と、ベンチャー企業の社員や経営者のみならず、大手企業で働く人にも注目されている。
デジタルマーケティング事業で成長中のWEB広告代理店「インフィニティエージェント」の代表・岡田裕平氏も、本書に共感した読者のひとり。社内のマインドセット構築に同書を活用しているという岡田氏に、著者の高野氏と共に話を聞いた。(ダイヤモンド社書籍編集局)。

「新卒と中途、採用するならどっち?」伸びているベンチャー企業に共通する“考え方”とはPhoto: Adobe Stock

毎日の朝礼と週1回のスピーチ

――御社はリモートワークなしのフル出社で、朝礼も毎日行っているとか?

岡田裕平(以下、岡田) そうです。私は平成生まれですけど、やっていることは昭和チックかもしれません(笑)。

 くわえて朝礼では、毎週一人、社員が持ち回りで理念にまつわるスピーチをしています。
 これも、会社の理念を浸透させるためです。社長である私が一方的に話すと価値観の押し付けになってしまいますが、社員一人ひとりが自分ごととして語ることで、価値観に「共感」してもらう。それが大事だと思っています。

「新卒と中途、採用するならどっち?」伸びているベンチャー企業に共通する“考え方”とは朝礼の様子(写真提供:株式会社インフィニティエージェント)

「新卒」が組織の文化をつくっていく

――朝礼にスピーチと聞くと、若い社員は反発しそうですが、どうですか?

岡田 いえ、若い社員、とくに新卒の人は素直に受け取ってくれています。反対に、ある程度他社でキャリアのある社員の方が抵抗を感じる方も多い印象です。

 こういった点で、組織文化の醸成には新卒採用が重要だと思っています。素直で、一生懸命で、まっすぐに仕事に取り組んでくれるところは新卒社員の強みだと感じます。

 だからこそ、弊社は新卒採用の比率を40%以下にしないように人事にも伝えています。中途採用を増やすと組織の構成比率が変わってしまうこともあるので、そこは常にウォッチしています。

「新卒と中途、採用するならどっち?」伸びているベンチャー企業に共通する“考え方”とは現在の組織構成比(資料提供:株式会社インフィニティエージェント)

泥臭い方法で成長できるのは、すごいこと

高野秀敏 伸びているベンチャーさんって、意外とそういうスタイルの会社が多い気がしますね。
 ある程度の宗教観というか、会社としての方針が明確にあって、そこにカルチャーが合う人を集めていく。

 カルチャーが強い会社は、目標を全員で唱和するような文化がありますよね。社長だけでなく、社員一人ひとりが会社全体の目標を意識している。そこまで徹底できるかが、兆円企業になれるかどうかの違いなのかもしれません。

 もちろん、即戦力でカルチャーも合う人がいれば最高ですが、なかなかいない。それならば、未経験でもいいから素地のある方を採用して、育てていく方がいい。

 ただ、簡単なことではありません。日々、売上をあげなくてはいけないベンチャーという環境で、人材育成に力を入れられる企業は多くありません。それに、そもそものビジネスモデルがきちんと儲かる仕組みになっていないと、人を増やしても意味がありません。教育が充実していて、仕組みも強くて。その土台があるからこそできる、すごいことだと思います。

「新卒と中途、採用するならどっち?」伸びているベンチャー企業に共通する“考え方”とは岡田裕平(おかだ・ゆうへい)
株式会社インフィニティエージェント 代表取締役
1989年、東京都出身。2012年大学在学中にベンチャー企業にインターンとして入社、新規事業責任者としてインターネットメディア事業の立ち上げを行う。2013年11月トランスコスモス株式会社へ入社し、デジタルマーケティングにおけるプランニング、オペレーション業務に従事。「セールスとデジタルを駆使し無限の可能性を引き起こす」を経営理念に、2015年5月、当社を創業。代表取締役に就任。

(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)