米連邦準備制度理事会(FRB)の元エコノミストが今年に入り、FRB本部の改修費用の膨張について報告書を発表した時、それを気に留めた人はほとんどいなかった。だがそれから数カ月後、この指摘はドナルド・トランプ大統領がジェローム・パウエルFRB議長に圧力をかけ、解任をもくろんでいるとみられる取り組みの中心となっている。トランプ氏には、利下げを進めないことを理由にパウエル氏を解任する法的権限はないかもしれないが、大統領の補佐官たちは、費用が25億ドル(約3700億円)に上る改修事業を次善の理由として利用しようとしている。大統領補佐官らは改修工事の件について、パウエル氏が自身の役割をきちんと果たすために必要とする国民の信頼を損ないかねない、公的資金の無駄遣いの具体例だと考えている。