米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はなぜ中国を訪れたのか。同氏は、市場シェアを獲得し、米国で開発されたコンピューティング・インフラを使って他国と関与することで、米国の技術プラットフォームを世界的な人工知能(AI)の標準にしたいと考えている。これは、米国外で最大のAI市場で事業を行うことを意味する。ワシントンの一部の人たちはこのことに関して混乱しているようだ。エリザベス・ウォーレン上院議員(民主、マサチューセッツ州)とジム・バンクス上院議員(共和、インディアナ州)は5月、フアン氏に書簡を送り、同氏の企業が「権威主義国家におけるイノベーションのエコシステムを強化することを選択する」のはなぜなのか説明を求めた。2人は先週同じことを繰り返し、フアン氏に送った別の書簡で、中国企業の幹部らと会談したことを叱責した。両議員が米国で最も重要なCEOの1人の愛国心を疑問視するのはこれが2度目となる。彼らの抗議は米国の勝ち方を巡る大きな誤解を露呈している。米国の勝利はおびえて撤退することによってではなく、強さと関与によってもたらされるのだ。