「この人、仕事ができるな」は、毎日のメールで決まる。「相手に間違ったニュアンスで伝わってしまう」「文面がこわいと言われるが、原因がわからない」「メールの返信に時間がかかりすぎて、1日が終わってしまう」。メール仕事には、意外と悩みがつきものです。本連載では、中川路亜紀著『新版 気のきいた短いメールが書ける本』(ダイヤモンド社)から編集・抜粋し、迷いがちなメールの悩みを解決するヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

ビジネスメールでは「様」が無難

親しみのつもりが逆効果…仕事ができる人がメールで「様」を使う決定的な理由イラスト:水谷慶大

 以前は、メール本文中に宛名を書く習慣はありませんでしたが、最近はビジネスメールでは必須と考えられるようになりました。本文中に宛名を書くようになった経緯を考えると、必要性よりも儀礼的な意味が大きいことがわかります。とすれば、宛名を「さん」づけにするのは、手紙の封書の表書きが「○○さん」になっているようなもので、ビジネスメールでは奇妙です。

 本文中の宛名につかう敬称には次のようなものがあります。

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様:もっとも一般的。
さま:親しみをこめた呼びかけとしてよくつかわれており、失礼ではない。初めての相手やフォーマルな通知などにはつかわない。
先生:教員、弁護士、議員、文筆家、講師などへの敬称。
各位:「の皆様」の意味。「各位様」は敬称の重複になり間違い。
皆様:複数への呼びかけ。「○○の皆様」と書いてもよい。
課長:役職名は、名前の後ろにつけると敬称になる。

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 宛名を「山本様」とした場合でも、続く本文で「様」をつけて呼びかけるとかしこまりすぎて違和感があることがあります。その場合は、

・名前を出さなくてもいい表現に文章を変える
・割り切って、本文でも「様」をつけて呼びかける
・宛名と不一致になっても「さん」で呼びかける

 のうち、もっともしっくりくるやり方で。紙の手紙でも同様です。

※本記事は『新版 気のきいた短いメールが書ける本』を一部抜粋・編集したものです。