中国では出生率の低下を食い止めようと地方政府が優遇策や現金給付、住宅補助などを試みてきたが、効果はほとんど上がっていない。現在、中央政府も対策に力を入れ始めている。地方政府のウェブサイトに公開された中央政府の通知では、子どもが3歳になるまで1人当たり年間3600元(約7万4000円)の基本給付金を全国規模で支給する計画としている。支給開始時期は明らかになっていない。中国の経済や社会に大きな課題を突き付けている少子化の流れを、それだけで反転できるかどうかは不透明だ。中国の合計特殊出生率(女性が一生のうちに産む子どもの数)は現在およそ1で、世界でも最低水準にある。今回の政策議論に関わったシンクタンク、YuWa人口問題研究所で主任研究員を務める黄文政氏は、計画されている給付金の額は、中国の人口学者や経済学者、研究者らが提案した額の半分以下だと指摘する。見込まれる政府支出額は中国の国内総生産(GDP)比で0.1%に満たない約1000億元であり、出生率を人口維持に必要な「人口置換水準」である2.1程度に戻すためには、支出額を50倍に増やす必要があるとの考えを同氏は示す。