米ワシントン州パルースの緑豊かな丘陵地帯にある、アンドリュー・ネルソンさん(41)の7500エーカー(約30平方キロメートル)の農場では、トラクターが低音を響かせて小麦畑を走っている。同氏は運転席でハンドルを握る代わりに、ズーム会議をしたりメールをチェックしたりしている。ソフトウエアエンジニアで農家の5代目でもあるネルソンさんは、食料の栽培・収穫方法を変えつつある変革の最前線にいる。トラクターは自動走行しているだけではない。搭載されたセンサーやカメラ、分析ソフトも常時、肥料散布や除草の場所と時期の判断を行っている。すでに多くの最新型農場で、衛星利用測位システム(GPS)ガイド付きトラクターや、農場管理ソフトといったデジタル技術が導入されている。人工知能(AI)の進歩により、最小限の人手しか必要としない新たな農業が現実味を帯びつつある。