「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」は、”親が元気なうちに”取り組むことが、何よりも大切”というのは、最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』を出版した片づけアドバイザーの石阪京子氏。実家に溢れるモノを整理し、お金を把握することで、親子ともに幸せになれるそのノウハウを、本書から抜粋・編集してお伝えします。

カチンときたらこう考える! ――「老いた親」との会話で“怒り”を手放す方法Photo: Adobe Stock

親を子どもだと思って導いてあげるつもりで

「実家片づけ」をしたいと子どもが言いだすと、9割の親は反対します。このこと自体はきわめて普通のことです。この時に「せっかく心配して言ってあげてるのに」とカチンとくるかもしれません。

しかし、親が高齢の場合は、親子が逆転していると考えてください。子どもをうまく導いていってあげるような感覚で、上手に立ち回らなくてはいけません。

とはいえ、親はいつまでも親ですからね。難しいのは事実です。私も、最初はなかなか親子逆転できませんでした。けれどそれは今、大きな反省点として残っています。私がいつまでも子どもでいたから、不毛な喧嘩を繰り返してしまったし、父にも無駄なエネルギーを使わせてしまいました。

悲しいけれど、高齢になった親は、昔の親と同一ではありません。脳が老化して、思考力や判断力も鈍るようになるし、頑固になることもあります。

だから、現役世代である私たち子どもが、親になったつもりでリードしてあげる。それが正しい進め方だと今は確信しています。

プライドを傷つけぬように淡々と進める

ただし、たとえ強行突破しなければいけないときでも頭ごなしに言うことをきかせようとするのは逆効果です。

これは私の失敗談ですが、言う通りにしてくれない父に対して、ガツンと言ったことがありました。「あのなぁ、お父さん。私、片づけの専門家としてNHKの『あさイチ』にも出てんねんで!」

でも、父にはまったく効きませんでした。どんなにこちらが正しくても、上から目線で言葉を放つと、相手は心を閉じてしまいます。脳は老化しているとはいえ、親としてのプライドは高いままです。子どもの言いなりになるのは許せないのでしょう。

だから、一歩引いて、気持ちに寄り添い、相手を立てながら、淡々と進めることが大切です。

*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。