M&Aと企業変革がもたらす相互作用
企業には「成長」が必要である。今の時代、この「成長」という言葉には、多様な意味合いが包含されている。そしてその実現手段として、自社単独(オーガニック)で限界があるのならば、他者を活用した方法(インオーガニック)も活用すべきである。ここまでは誰も異論はないであろう。
ただし、オーガニックでの成長が困難な環境にある際に、インオーガニックの手段を取ることによってその根本的な問題が解決するだろうか? というと、そんな単純な話ではない。言うまでもなく、インオーガニックの手段を取る場合においても、自社のケイパビリティならびに取り巻く環境は不変である。むしろそこに「他者」というアンコントローラブルな因子が加わることによって、「成長」を実現するための変動要素は複雑かつ高度化する。まさにリスクを取るということである。
しかしながら私たちは、このような時代だからこそ、むしろリスクを理解しながらチャンスと捉え、M&Aをうまく活用し企業変革、「成長」に生かしていただきたいと考えている。
PwCでは、M&Aを企業変革のシナリオ/アジェンダとしてとらえる思想として「Transact to Transform」を掲げている。その基本的な概念は「変革からディールが生まれる(Transform to Transact)、そして、ディールから変革が生まれる(Transact to Transform)」である。
M&Aと企業変革がもたらす相互作用が、企業の新陳代謝と価値創造の循環を生み出すという考え方である。