「面白い企画」と「つまらない企画」、そこには決定的な違いがあります。
そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に思考や発想の研修をしてきた石井力重氏だ。この度、そのノウハウをAIを使って誰でも実践できる方法をまとめた書籍『AIを使って考えるための全技術』が発売。思考・発想のベストセラー『考具』著者の加藤昌治氏も制作に協力した本書は「面白いアイデアが次々に生まれる!」と、発売直後から話題になっている。この記事では本書で語られている「面白い企画とつまらない企画の違い」を紹介しよう。

いつも「つまらない案」ばかり出してくる人の共通点・ベスト1Photo: Adobe Stock

あらゆる企画には「アイデア」が必要

 世の中で企画とよばれるものには2つの種類があります。

 ひとつは「アイデアなしの企画」
 企画としては成立する。やろうとしたらできる。だけれど、アイデアが入っていないので面白くない……。お金と時間の無駄かもと感じるような「企画」です。

「つまらない案」を出してしまう人は、共通して、「アイデアなしの企画」を出しています。この視点を持って過去や現在の周囲を見渡してみると、結構な割合で「アイデアなしの企画」が発見されてしまうかもしれません。

 もうひとつが「アイデア入りの企画」
 アイデアとは「企画が持つ価値の源泉」です。アイデアという価値がしっかり入っていて、やるべき魅力を持つ企画を指します。目指したいのはこちら。

 この2つの違いをまとめると、以下のようになります。シンプルだけれども、かなりのアイデアを必要とする「子どもへの誕生日プレゼント」で考えてみましょう。

「企画」にはなっているけれど「アイデア」がない

「3000~5000円くらいで、子どもが喜びそうなものを贈る」

 プレゼントとして成立はするけれど、アイデアがない(面白くない)状態です。
 誰に、いくらくらいの、何を贈るのか。具体性や実現可能性はありますが、それでよいのでしょうか。予算に収まることは大事な要件ながら、ちょっと投げやりかも。子どもを本当に驚かせるためのアイデアがありません。「アイデアなしの企画」の典型例です。

 他に、「子どもがほしがっている~~を贈る」も、やや物足りない。ニーズには応えているため、喜ばれるのでしょうけれど、驚きはないですよね。これもまた「アイデアなしの企画」だと思います。

「アイデア」はあるけれど「企画」になっていない

「南極旅行をプレゼントしたい」

 夢のあるアイデアです。本当に行けたら素晴らしい。けれども、実現可能性は乏しいでしょう。
 
5000円では厳しい。ツアー費用は1人1000万円を超えるみたいです。たとえ面白いアイデアであっても、実現できないなら、それは「企画」としては成立しません。

「アイデア」があって「企画」にもなっている

「南極探検のドキュメンタリー映画を個人向けシアタールームで観る」

 実践的なアイデアパーソンは、アイデアを実現可能な企画へと“調整”していきます。
 
南極に実際には行けないけれども、5000円強で実現できるリアルさを持った企画にできないだろうか。そう考えます。シアタールームで映画鑑賞、ワクワクと驚きがあって、独占感もあるので喜んでもらえそう。

 あるいは南極旅行のアイデアが含んでいる「冒険心」を大事にしつつ、まったく別の方法を考えるアプローチもあります。たとえば「屋内スカイダイビング体験」なんてどうでしょう。5000円は少々オーバーするかもしれませんが、手は出せる価格。これも「アイデア入りの企画」です。

 私たちが何かを考える際、手にしたいのは「アイデア入りの企画」です。そのためには「アイデアを生み出す」だけではダメで、「企画として整える」という作業も必要だということです。

 でもご安心を。そのどちらの作業にも、AIの力が活用できます。

(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。この他にも書籍では、分析、発想、発展、具体化、検証、予測といった“頭を使う作業”にAIを活用する方法を多数紹介しています)