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新宿、渋谷、下北沢……東京の街は常にあちこちで再開発が続いている。昔の姿を覚えている人たちは、新しくなった街を見てたいていこうつぶやく。「以前のほうがよかった」。しかし、本当にそうなのだろうか。再開発される前の街をいいと思う気持ちは、ある世代以上にしかないのではないだろうか?(ライター、編集者 稲田豊史)
街の再開発を好意的に受け止められない
忘年会の季節が近づいてきた。繁華街のある大きな駅で下車し、コートの襟を立てて会場の店に向かう方も多かろう。
その際、駅やその周辺の様相が以前とは随分変わってしまったことに、思うところのある人もいるのではないか。中高年以上の場合、そこには往々にしてネガティブな感情が入り混じる。
気に食わないのだ。数年来続く、大手デベロッパーや鉄道会社による大規模再開発が。
筆者も、おおむね40代以上の友人や仕事関係者から、よく同意を求められる。昔は街にもっと風情があったよね、とかなんとか。
例えば東京だと、こんな感じだ。
【新宿】「かつての猥雑さが歌舞伎町から失われた」「駅周辺がオフィスビルとチェーン店ばかりになった」「昔ながらの飲み屋が減った」
【渋谷】「パワフルな若者の流行発信地ではなくなった」「大規模な商業施設が駅前にニョキニョキ建ちすぎ」「駅の地下が地下迷宮のように複雑」
【下北沢】「駅前が整然としすぎて趣が消えた」「古着文化や演劇文化の存在感が薄れた」「観光地化が進みすぎ」
【渋谷】「パワフルな若者の流行発信地ではなくなった」「大規模な商業施設が駅前にニョキニョキ建ちすぎ」「駅の地下が地下迷宮のように複雑」
【下北沢】「駅前が整然としすぎて趣が消えた」「古着文化や演劇文化の存在感が薄れた」「観光地化が進みすぎ」
通底するのは、街から「文化」がなくなったという嘆きだ。個性的な店が消えた。グローバリズムに呑み込まれた。きれいめの商業施設に最大公約数的な有名店が入ってるだけ、等々。
まあ、わかる。一応、同意はする。







