これは筆者の友人のエピソードだが、彼女はだいぶ年の離れた後輩から失礼を重ねられた上、耐えかねて指摘したところ、AIを使ったであろう長文の謝罪メールが送られてきたと脱力していた。

「AI」で検索すると、サジェストに「バレる」という言葉が出てくることがある。これは後ろめたい状況でAIを使っている人がそれなりにいると推察される状況である。

 AIを使ったことがバレると恥ずかしい場合や、なぜバレてしまうのかについて、調べた。

昔の「書き方」テンプレと
何が違う?

 まず、「これはAIだな」と看破したことのある人や、結果的にAIだとわかった人たちのエピソードから。

「知り合いから紹介された自分の孫ぐらいの年齢の若者。私の住んでいる地方に長めに滞在したいというので空いている部屋を貸したのですが、滞在後のお礼のメールがAIっぽく感じました。これAIで書いたでしょ?と聞くと『バレました〜』と返ってきて、そのぐらいの冗談を言える距離感だったから良かったのですが、おばさんにはAIを使ってもバレないと思ったのかなと少し落ち込みました」(60代)

 お礼や謝罪文がAIだとバレた際は気まずいものがある。

 ただ、冒頭で紹介した謝罪がAIだったケースもそうだが、目上の人に書く文章はいつもと違う文体が必要で、ある程度の定型に沿った方が無難であったりする。だからこそAIに頼りがちなのだろうし、少し前であれば「手紙の書き方」についてテンプレを紹介するノウハウ本も頼りにされていた。

 若者を擁護するわけではないが、そう考えてみると、お礼や謝罪の文章を考える際にAIに頼ることが悪いとは言い切れないところがある。

 ただ、AIがこしらえた文章があまりにも普段の本人からかけ離れていたり、内容に明らかな間違いがあったり……となると、「手抜き」という印象を与えてしまう。このさじ加減が難しいし、受け取り手によってもどこまで気づくか、どの程度許容するかが現段階では個人差がありそうだ。