「平将門の首塚」が大手町の超一等地から撤去できない「ゾクリ」とするワケPhoto by Satoshi Tomokiyo

千代田区・大手町のオフィス街に祀られている「将門塚」をご存じだろうか。その昔、討ち取られた平将門の首が平安京から飛んできて、この地に落下したのが始まりという、都内の有名なオカルトスポットである。こんな酷暑の時期だからこそ、改めて将門塚にまつわるエピソードと真実を振り返り、ゾクリと涼んでいただきたい。(フリーライター 友清 哲)

空を飛んで故郷へ帰った
将門の“首”

 千代田区・大手町のオフィス街のど真ん中に祀られている「将門塚」。これは平安時代中期の豪族、平将門の首を祀ったもので、別名「首塚」とも呼ばれている。

 将門といえば、時の朝廷・朱雀天皇に対抗して「新皇」を名乗ったことから、朝敵として名を馳せた人物である。しかし即位から間もなく、藤原秀郷らに討ち取られてしまったことはよく知られている史実だ。

 問題はその後である。伝承によれば、平安京で討ち取られた将門の首は、強烈な無念の思いから空を飛んで江戸に戻り、現在の千代田区内に落ちたという。その日、周辺は昼間でありながら闇に包まれ、大地は鳴動したとされ、恐れ慄いた村人たちは将門の怨念を鎮めるために、首を落下地点に埋葬して塚を建てた。これが将門塚の起源である。

 現在、高層ビルが林立する一等地でありながら、ぽっかりと穴があくように佇む将門塚。周囲の地価を考えれば、その風景はいかにも不自然に思える。

 調べてみると案の定、将門塚には撤去できない“事情”が存在していた。

「平将門の首塚」が大手町の超一等地から撤去できない「ゾクリ」とするワケ将門塚の付近にはしっかりと案内板が用意されている  Photo by S.T.