スマホ・テレビ・ゴシップ……日常生活の99%はムダだらけ。しかし、ムダを捨てるためにいくら効率を良くし、生産性を上げても、他人の期待に応えているだけで、自分のためになっているわけではない。「依存のプロ」GoogleとYouTube出身の著者が生み出した、自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」とは? 27言語で刊行され、世界で累計30万部を突破している『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに解説する。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「即レス=仕事ができる」は本当か。仕事の評価基準は何が正しいのか。Photo: Adobe Stock

「メールとチャットは5分以内に返せ」という教え

「すぐ返します!」「すみません、気づかなくて……」

 仕事中、Slackやメールの通知が鳴るたび、急いで返信している。

 いつだって“即レス”が基本。
 5分以内に返さないと「遅い」「やる気がない」と思われる気がして、集中していても、休憩していても、つい手を止めてしまう。

 でも、ふと「さっきから何も進んでいない」ことに気付く。
 たしかに相手からの評価は気になる。だが、それと引き換えに失っている“自分の時間”の多さに、モヤモヤする……。

 そもそも、「レスが早い=仕事ができる」って本当なのだろうか?

「メールに追われてばかりいる」と感じたとき、元グーグル社員が実践していた驚きの方法があるといいます。では、どうすべきなのでしょうか。

返信は遅く

 元グーグル社員が実践していたのが、返信は遅くという戦術です。

戦術:返信は遅く
 受信箱をコントロールするには、「できる限り早く」から「許される限り遅く」への方針転換が何より必要だ。メールやメッセージにはゆっくり返信する。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 これは単なる“マイペース”ではありません。
 自分の時間を主導するための意思ある行動なのです。

「即レス」に代償はつきもの

「即レス」には以下のような落とし穴があるといいます。

ネットでは、物理的に近くにいる大事な人に限らず、誰でもあなたに連絡をとることができる。彼らは(あなたのではなく)自分の都合のよい時間に、(あなたのではなく)自分の優先事項について尋ねてくる。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 たとえば、

・相手のテンポに飲まれて、優先順位が崩れる
・浅い返答になり、あとから再送・訂正が増える
・「何でもすぐ返してくれる人」扱いされ、負荷が倍増する

 といった現象に見舞われることも減るのではないでしょうか。

 返信スピードをコントロールすることで、あなたの仕事も、頭の中も、穏やかに整っていきます。

急がないことで、信頼はむしろ深くなることも

「返信は早ければ早いほどいい」という考えの人もいるかもしれません。

 ですが、即レスが当たり前の時代だからこそ、あえて「遅く」返すという選択が、深く届くやりとりを生む可能性があることもあります

 返信を遅くすることは、あなたの仕事と心の余白を守る、いちばん静かで強い戦術かもしれません。

(本記事は、ジェイク・ナップ ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに作成しました。)