思い返せば、日本で先週末に行われた選挙に関して唯一、本当に驚きだったのは、このようなことが起きるまでにこんなにも長い時間がかかったという点だ。「このような」とは、国会を長年支配してきた自由民主党の連立与党が参議院で過半数を失ったことだが、それに代わって過半数を得た党派はない。今回の選挙の最大の勝者は右派の抗議政党だった。これらの政党は他のどの政党にも安定多数を与えないほど十分に得票率を伸ばした。自民党を率いる石破茂首相は既に衆議院で少数与党を強いられており、彼の頭痛は一層深刻なものになった。表面的には、日本の有権者を動かしたように思われる懸念は、他国の苦境に立たされている有権者を困惑させるかもしれない。インフレは日本で選挙戦の強力な争点になった。インフレ率はどうなっているか。6月時点では3.3%だった。2022年6月に9.1%のピークを付けたインフレが続いたことで21年に比べ購買力が20%以上低下した米国の有権者は、なかなか共感できないだろう。移民についても同じだ。抗議政党は、日本は移民を減らす必要があると主張しているが、現時点で移民はほとんどいない。外国生まれの人は約380万人で、人口に占める比率はわずか3%だ。これに対し、米国では少なくとも14%、ドイツでは約18%となっている。