亡くなった人は哀しいけれど戻って来ない。生きている人は生き続けなくてはいけない。立ち止まらず前に進むうえで好きな人もできても無理はない。生きるために必要な人に出会えたならその人を手放してはいけないのだ。
三星百貨店に就職が決まった嵩と、夢を追う彼を応援したいのぶ

翌日、のぶは嵩に漫画を描くように励ます。このとき、嵩が眼鏡を外して顔を洗っている。嵩だってハンサムで精悍にも見えなくないし、鼻だって高い、とのぶが思ったかどうかはわからない。
それからのぶは、鉄子(戸田恵子)の事務所に出社。鉄子のやりたいことは着々と進行している。その分、忙しくなって、子どもや女性たちの話しを聞く時間が持てなくなっていた。社会改革を成すための立ち回りに時間をとられているのだ。
「民の声を政治の世界に届かせるためにはそれ相応の地位が必要なのです」と世良が言うように末端のことに目が向けられなくなってしまうものなのだろうか。ちょっと残念。
その頃、嵩は登美子とお茶。かつて夫(二宮和也)とよく来た店だという。震災にも焼けずに残っていたようだ。登美子は嵩に就職を勧める。
数日後、のぶは鉄子から児童福祉法の法案ができるらしいと聞く。鉄子は嵩に就職の口を利くこともできると言うが、のぶは漫画を描く嵩を支えるつもりでいる。
のぶは鉄子の代わりに子どもたちの面倒を見る。七夕の短冊に「ふかふかの布団で寝たい」と書く子ども。高知の戦災孤児もそう書いていた。児童福祉法案ができればそれが可能になるかもしれない。「ふかふかの布団で寝る」幸せ。それが得られない人がこの世界にたくさんいる。
そこへ嵩がやって来る。大手・三星百貨店に就職が決まったと喜色満面の嵩。
えー、漫画を描くんじゃないの?のぶは嵩を支える気だったので、拍子抜けだろう。
のぶと結婚するにあたり、就職し生活の基盤を作ろうという嵩の気持ちは誠実である。
登美子のように男性に食わせてもらうのが当たり前と思う女性がまだ多かった時代。
幸せとは何か。結婚して男性の甲斐性で生きていくことなのか。男性に甲斐性がなくても女性が支えていくことなのか。この価値観の違い、どうなる?