
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第83回(2025年7月23日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
ショックと
ワクワクと
油断していたらショッキングな展開。まずは順番に振り返っていこう。ショックもあるがワクワクすることもある。第83回は、東京ののぶ(今田美桜)と高知の嵩(北村匠海)を交互に描く。
東京で代議士・薪鉄子(戸田恵子)の手伝いをはじめたのぶ。戦災孤児や浮浪児のために活動している鉄子との仕事は、子どもが気になるのぶにとっては願ってもないものだった。
数カ月の新聞記者としての仕事を生かし、戦災で街に焼け出された浮浪児たちに話を聞く。狩り込みされて施設に入れられた子たちは、保護とは名ばかりで設備の整っていない施設で不自由な暮らしを強いられている。親戚に引き取られても余計なもの扱いされる。親戚に引き取られた悲劇はジブリアニメの『火垂るの墓』に詳しい。
国は孤児の保護方針を出したが、実態は国が個人に丸投げしている。
貧しい人、恵まれない人に手を差し伸べるのが政治。国が孤児の面倒を見るのが当たり前だと鉄子は言う。政治家が施設の環境のいいところしか視察していないので現況がわかっていない。のぶは施設の現状を調査することにした。