大地震が来ても寝る!?嵩の“伝説級エピソード”はやなせたかしの実話だった【あんぱん第84回レビュー】『あんぱん』第84回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第84回(2025年7月24日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

大地震経験者だった
秘書の世良(木原勝利)

 地震大国日本。昭和21年(1946年)12月21日の早朝4時19分頃、昭和南海地震が発生した。

 嵩(北村匠海)の安否がわからないまま2日が過ぎた。何度電話しても高知にはつながらない。家族の安否はわかったのだろうか。

 こうしてはいられないと高知出身の鉄子(戸田恵子)は居ても立っても居られず高知に向かおうとするが、世良(木原勝利)に冷静に止められる。彼は関東大震災の経験者だった。高知は津波の被害もあるので、助けにいって巻き込まれることを心配していた。

「危険なんです!」このときの世良の声は厳しくはっきりしている。避難を呼びかけるアナウンサーのようである。それに比べて、鉄子は案外あたふたしている。

 鉄子を演じた戸田恵子は、東日本大震災のとき、あたふたしていて、それに比べて嵩のモデルであるやなせたかしは冷静に、自分が何ができるか考えて行動に移していたと、インタビューで語っていた。戸田さんの語るやなせたかしの晩年の様子はひじょうに印象的だ。ぜひ読んでほしい。