
やなせたかしの実話
三越の包装紙伝説
言いたいことは言えないけれど、嵩は意外と三星百貨店の宣伝部でいい仕事をする。彼の仕事の速さは以前から実証されていた。
嵩の仕事として描かれたのは、嵩のモデル・やなせたかしの実話・三越の包装紙伝説。三越の赤と白のまだら模様のような包装紙のデザインはやなせが宣伝部員として手掛けたものだ。Mitsukoshiの文字はやなせたかしによるもの。
ドラマでも、単純な柄ではないかという意見を嵩は退け、Mitsuboshiという字を万年筆で自ら書いた。
この万年筆は健太郎(高橋文哉)からもらったものだろうか。そういえば健太郎はどうしているだろう。
ちなみに包装紙の絵柄にピンとこない出川部長を演じるのは元純烈の小田井涼平。
このように職場で充実した日々を送る嵩に対して、のぶは少しくすぶりはじめていた。
仲良くしていたマサ子(小野寺ずる)とケイ子(行平あい佳)が田舎に行くと言う。復員してきた親戚が事業をはじめることになったのだ。アキラ(番家玖太)も引き取り手が見つかりこの街を出ていくことになった。
結局、鉄子(戸田恵子)やのぶが具体策を講じないまま、当人たちが自力で解決していく。おそらくのぶは自分の非力さを感じているだろう。取りこぼしているものがある気がするとのぶは言うが、鉄子はすでに大局に向かっている。児童福祉法が来年施行されることになった。
「私たちの仕事は民の声を聞き、すべての人があまねく幸福に暮らしていけるよう 国のルールを作ることです。そこから先、国民ひとりひとりの幸福をどう実現するかは各人が努力してつかみとるほかないのです。人間ひとりにできることなど限られているのですから」
世良(木原勝利)のド正論。この人は淡々と真面目に振る舞っているだけで面白い。いいキャラだ。
ちょっと元気がないのぶが帰宅すると、嵩が訪ねて来ていた。
職場の人の紹介で中目黒の長屋のひと間を借りられることになったと嵩はのぶを喜ばせる。
「今日は大事な話があって」と切り出したとき、登美子(松嶋菜々子)がやって来た。