
ケアレスミスが多い部下に対して「作成した書類に誤字が多いから、確認してから提出してください」と指摘した上司。すると部下は「私だって一生懸命やっているんです!」と泣きながらトイレに駆け込んでしまいました。業務上のミスを指摘しただけで、部下に泣かれたらどう指導していいか分からない。もしかして「パワハラ」と呼ばれてしまうかもしれない……。こんなとき、上司は部下に対してどう接したらいいのでしょうか?(カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、産業カウンセラー 片桐あい)
「私だって一生懸命やってるんです!」ミスを指摘したら、部下に泣かれた
「作成した書類に誤字が多いから、ちゃんと確認してから提出してください」
従業員数600人規模のIT企業、バックオフィス系の業務を担当している部署での話です。Aさんはある日、部下のBさんにそう指摘しました。
上司のAさんは、日頃から誤字脱字の多いBさんに対して、その都度指導をしていたのですが、Bさんのケアレスミスはなかなか改善されません。そのため、Aさんはその日も、近くに座っているBさんに対して自席から上記のように声をかけたのです。
するとBさんは、「私だって一生懸命やっているんです!」と反論。しくしくと泣きだしてトイレに駆け込み、しばらくトイレから出てこなかったそうです。
確かに、執務室には他にも人がいたため、指導されたBさんとしては人前で叱責(しっせき)されたと思って「私だって一生懸命やっているんです!」と、感情的に返してしまったのかもしれません。
その後、同じ部署の先輩社員・CさんがBさんをフォローしようと、トイレにBさんを迎えに行きましたが、Bさんは個室から出ようとせず、その日はそのまま帰宅しました。
Aさんは、この事態について自分なりに振り返りましたが、どうしてよいのかわからず、外部の産業カウンセラーである私に相談が入りました。