優秀だけど周囲と関わるのが苦手な人は少なくない。そんな部下こそ、上司の働きかけが肝心だ。能力を生かすも殺すも上司次第。どんな関わり方ができるのか考えてみよう。(カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、産業カウンセラー 片桐あい)
「優秀だけど気難しい部下」の
能力を引き出すには?
「最近の若手は優秀だけど、どう接したらいいのか……。Aさんは気難しいからなー」などという声を聞きます。そんな“気難しいタイプ”の部下にどう接したらよいでしょうか。
部下の力を引き出す方法について、ここでは社会心理学者の三隅二不二氏が提唱した「PM理論」を使って考えてみます。
PM理論では、「二つの力」がリーダーシップを構成する重要な要素だとしています。一つは目標に向けて業務を完遂することのできる「業務遂行力」、もう一つは集団維持、つまりチームワークを発揮して仕事でより良い成果を出すことができる「関係構築力」です。この二つの力は、ビジネスパーソンとして成功する上で大切な能力といえます。
以下の図は、業務遂行力(Performance)と関係構築力(Maintenance)、それぞれの強さによって人材のタイプを四つに分類したものです。では、「優秀だけど気難しい部下」はどこに分類されるでしょうか。
一般的に「優秀である」とは、業務遂行力が高いことを指す場合が多く、与えられた目標を達成するために仕事の量も多く質も高いことでしょう。しかし、気難しいということは、関係構築力は低いと思われます。よって、「Pm」の象限に入る人ということになります。
つまり、「M(=関係構築力)」を伸ばすサポートをすることが、部下の成長につながるといえます。では、上司は具体的にどう動けばいいのでしょうか。関わり方のポイントと、やってはいけないNG行動について見ていきましょう。