◆MLB公式動画:スピーチ全文:イチロー鈴木選手が殿堂入り
絶賛されているイチロー氏のスピーチ。ネット上で動画を見た人のコメントも非常に好意的なものばかりです。ごく一例ですが下記に引用します。
I was consistently down on Ichiro when he was here, both as a ball player and from what I could see off the field. I was wrong...the guy is a complete class act (in all respects) and I'm even wondering why we haven't named a street (maybe connected to Uwajimaya) after him.
イチローがマリナーズにいた当時、私はずっと彼に批判的でした。選手としても、そして私が見聞きした限りフィールド外での姿についても、あまり良い印象は持っていませんでした。でも、私が間違っていました……彼はあらゆる意味で「完全に品格のある人物」です。むしろ、なぜ彼の名前を冠した通りが(例えばUwajimayaに続く辺りに)ないのか不思議に思うほどです。※Uwajimayaは米国で有名な日系スーパーマーケット
Hats off to a great player - one of the best of his era. Mariners were lucky to have him.
偉大な選手に敬意を表したい。彼は間違いなく、時代を代表する名選手の一人だ。マリナーズは、彼を迎えることができて本当に幸運だった。
中学英語+αレベルでも
人々を感動させたポイントは?
まず、イチロー氏のスピーチは決して難しい単語や文法を多用したものではありませんでした。いわゆる中学英語にプラスアルファした程度のレベルです。
スピーチに出てくる全825ワードは、『オックスフォード英語辞典』の基本単語3000語で、実に92%をカバーしていました(下のグラフ参照)。この3000語というのが、日本の中学校で学ぶ英単語プラスアルファのレベルです。また、残りの8%のほとんどが地名や野球選手の名前、rookie(新人)などの野球用語でした。ある程度、野球を知っていれば子どもでも分かる英単語ですよね。
文法の一部に、「仮定法過去」を使ったネイティブイングリッシュスピーカーのような表現もありましたが、それも決して難しい言い回しではありません。
発音は、決してネイティブ並みとは言えませんでした。何回か言い直していましたし、話し方はゆっくりで、英語スピーチの流暢さや洗練した印象は感じられませんでした。
それでも、イチロー氏のスピーチが聴衆の心を大きく揺さぶったのは前述したとおり。イチロー氏は完全に大人になってから英語を学び始めた人ですが、そうした英語学習者の限界を超えて、人々を感動させたポイントがいくつか見受けられました。