「ただいま」と言うと
「おかえり」と迎えてくれる喜び
数日、のぶは事務所に泊まり込みになった。新居でふたりきりで過ごすことがなかなかできないのぶと嵩。
ある日、嵩が帰宅するとのぶが戻ってきていた。「ただいま」と言うと「おかえり」と迎えてくれることが嬉しくて、もう一度「おかえり」と言ってほしいとせがむ。
住居のそばで猫の声が聞こえてくるのは朝ドラあるあるだが、やけに音量が大きかった。近所の子どもが遊んでいるのも朝ドラあるある。猫の声と遊ぶ子ども、これは平穏な日々の象徴のようだ。
嵩は幼い頃に母親と別れているから、どんなに叔父叔母がいい人でも家族の愛情に飢えているのだろう。ようやく自分の落ち着ける家庭と家族ができたことが、どんなにか嬉しいことだろう。だが、のぶとふたりきりの生活はなかなか訪れない。今度は、朝田家全員がやって来る。
物置のような狭くオンボロな住居に、くら(浅田美代子)、羽多子(江口のりこ)、蘭子、メイコ(原菜乃華)が占拠したため、嵩は八木のところに厄介になる。困ったときの八木頼み。
八木から手嶌治虫は医学生だと聞いた嵩は、医学を学びながらあんなにおもしろいマンガを描いていることに猛烈な焦りを覚える。八木には「じゃあどうして就職なんてしたんだ」とツッコまれるが、嵩としてはのぶとの生活もちゃんとしたいのだ。
「まずは愛する人を喜ばせたいです」と嵩は毅然と言い、八木には家族がいるのかと問えば、「いたよ」と気になる発言。嵩はそれ以上は聞かなかった。
ある日、羽多子に呼ばれ、嵩とのぶが一緒に帰宅すると、朝田家がサプライズの結婚祝いをしてくれる。美村屋のあんぱんを買ってきたメイコ。嬉しいとき、あんぱんを食べる。朝田家の習慣の復活だ。
ただ、このあんぱんは朝田家のシンプルなものとは違って桜の塩漬けが載ったもの。一層お祝い感が出た。
羽多子が三星百貨店に嵩に会いに行った際、美村屋に立ち寄って買ったものであろうか。メイコも銀座に行ってきたのだろうか。おめでとうと祝うときの蘭子が、飾りを作った材料を手にぎゅっと握っていて。それが彼女の胸いっぱいの愛情に感じた。
