なお、いまも法定通貨に近い性格を持っている暗号資産として、「ステーブルコイン」があります。例えば、アメリカドルと連動したテザー(USDT)、USDコイン(USDC)が代表的です(法定通貨と直接、連動しないタイプもあります)。

 これらはブロックチェーンを利用したWeb3(編集部注/ブロックチェーンなどの技術によって実現される次世代の分散型インターネットのこと。従来のWeb2.0においては巨大プラットフォーマーがデータを独占していたが、今後はブロックチェーン上に分散保存され、ユーザー個々人が自分のデータを管理できるようになる)サービスの支払いなどで一定のニーズがあり、時価総額の上位にも入っています。ただ、リブラのように法定通貨に取って代わる存在になるとは思えません。

投資に慎重な日本でも
ビットコインが買われている

 こうして世界がデジタル資産へ舵を切る一方で、日本国内の暗号資産市場はすっかり冷え込んでしまったわけですが、数年前から風向きが変わってきました。

 第1に日本の政府は、暗号資産やWeb3を成長戦略の中に位置づけ、法律や税制の見直しを進めています。

 最近では、石破茂政権のデジタル大臣に、自由民主党のWeb3プロジェクトチーム座長であった平将明議員が入閣しました。平議員は2022年からチームを牽引し、初代デジタル大臣であった平井卓也議員と協力して、Web3の指針を定めるホワイトペーパーを取りまとめてきた方です。

 このホワイトペーパーは、日本がWeb3時代における競争力を強化するための基本戦略を示している重要な文書です。

 第2に、日本国内において暗号資産の口座数は2025年1月時点で1213万となり(日本暗号資産等取引業協会調べ)、知らず知らずのうちに、暗号資産は日本社会に普及しつつあるのです。

国内における暗号資産口座数の推移同書より転載 拡大画像表示