
日本ではいまだに「ギャンブルのようなもの」と見られがちなビットコイン。しかしアメリカが「ビットコイン大国」宣言をしたり、エルサルバドルがビットコインを自国の法定通貨に定めたりと、情勢は大きく動いている。2026年には日本でも、暗号資産に関わる税制が大きく転換される見通しだ。暗号資産が当たり前になっていく時代に、押さえておくべきこととは?※本稿は、小田玄紀『デジタル資産とWeb3』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。
暗号資産を決済手段に
使う人はもういない
ビットコインの取引価格はこれまで、アップダウンを繰り返しながら、基本的には上昇トレンドを描いてきました。しかし、より重要なことはビットコインをはじめ暗号資産の扱いや性質が大きく変わってきたことです。
当初は少額決済のために考案されたビットコインですが、実際には決済手段としてはほぼ使われていません。日本でもブームの頃に、大手家電量販店などがビットコインでの支払いに対応するなどしましたが、いま皆さんの周りでビットコインで支払っている人は、おそらくいないでしょう。
ビットコインなどの暗号資産は、決済には使いにくいと言わざるを得ません。
まず決済に時間がかかるのが弱点です。暗号資産の取引がブロックチェーン上に記録されるまでには、ある程度の時間を要します。ビットコインであれば10分ほどです。
普段使っている現金や電子マネー、あるいはクレジットでの決済のほうがはるかに速いので、日常的にビットコインで支払うのは現実的ではありません。
また、イーサリアムに顕著ですが、多くの人が決済で使うようになると、取引の承認待ちデータが渋滞を起こしてしまいます。そうすると、速くブロックチェーンにつないでもらうためにかかる手数料(ガス代といわれます)も跳ね上がります。