
6月FOMC、4会合連続で政策金利据え置き
インフレ悪化見通しでも「2回利下げ」は維持
トランプ関税の米経済への影響が懸念される中で、米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月17~18日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、FFレートの誘導目標を4.25%から4.5%の範囲に維持することを決めた。
利下げ見送りは4会合連続となる一方で、ドットチャートではFOMCメンバーの多数が、「2回」としてきた年内の予想利下げ回数を維持した。パウエル議長はFOMC後の記者会見で、経済や物価の見通しに関する不透明性が引き続き高い下で、今後の物価や経済の展開にタイムリーに対応する上では、FRBの政策スタンスは「良い位置につけている」との考えを強調した。
FRBが今回のFOMCで示した経済や物価の見通しは、今年10~12月期の米経済成長率を前回3月見通しから下方修正する一方で、物価指数は前回から上方修正し、インフレは再加速するとの見立てだ。
そのうえで年内の利下げ回数を維持したのは、関税引き上げによるインフレ圧力は短期的かつ1回限りとなることを想定し、急いで利上げで対応するのでなく、インフレ圧力の減衰を待った後で景気の下支えのために利下げを進める基本シナリオを描いているためだとみられる。
パウエル議長は、トランプ関税のインフレなどへの影響が夏にかけてより見えてくるとして、「経済の行く末をさらに理解するために時間をかけることができる」ということで「良い位置」を強調したといえる。
しかし、FRBがそのシナリオに沿って金融政策を運営できるかどうか、不確実性がなお残る。
第一に、現段階でもトランプ関税をめぐるトランプ政権と各国との見直し交渉の結末が依然、はっきりしないことだ。
また仮に相互関税に関する何らかの妥協が成立して、関税引き上げ自体に関する不透明性が低下したとしても、関税引き上げ分の価格転嫁がどのように進むか、また、議会で可決、トランプ大統領が署名して7月4日に成立したトランプ減税法が今後、 消費動向やインフレ期待などにどう影響していくのかなど、米国経済への影響が時間の推移とともに大きく変わる可能性があるからだ。