「熱中症」を予防する、意外な健康習慣とは?〈再配信〉Photo: Adobe Stock

読者の反響が大きかった記事を、一部編集し再配信します。(記事初出時の公開日:2023年8月23日)

35℃以上の猛暑日が続き、熱中症警戒アラートが36もの県で出されている今年の夏。熱中症にならないために気をつけるべきことはいくつかあるが、熱中症になりにくい体を作るための「健康習慣」のひとつとして注目されているのが「サウナ」だ。自らもサウナーの医師がサウナの様々な効果やパフォーマンスをあげる入り方を解説した書籍「医者が教える 究極にととのう サウナ大全」から、一部を抜粋してご紹介します。

灼熱のサウナが「熱中症予防」になる?

 よく「熟練サウナーは、汗をかきやすくなるのではないか」という質問をされます。確かに、初心者はサウナ室に入ってもなかなか汗が出ません。しかし、熟練サウナーは、みるみるうちに汗がふきだすことを経験的に感じている人も多いのではないでしょうか?

5日連続のサウナ入浴で汗のかきやすさMAXに

 では、実際、サウナによく入る人は発汗しやすくなるのでしょうか?
 発汗の基準としては、何℃を超えると汗が出るかという「閾値」と、どのくらいの勢いで汗が出るかの「感度」の2つがあります。

 サウナ浴によって「閾値」と「感度」の両方が上昇するという研究もある一方で、閾値は変わらず「感度」だけが高まるという研究もありますが、サウナに入ると発汗の「感度」が高まる、すなわち、汗が勢いよく出るようになるのは事実のよう。

 では、どのくらいサウナに入ればその効果が出てくるのでしょうか? それを表すのが次のグラフです。

「熱中症」を予防する、意外な健康習慣とは?〈再配信〉出典:Zech, M. et al. Sauna, sweat and science - quantifying the proportion of condensation water versus sweat using a stable water isotope((2)H/(1)H and (18)O/(16)O)tracer experiment. Isot. Environ. Heal. Stud.51, 439-47(2015)

 これによると、毎日サウナに入った場合、5日目まではどんどん汗をかきやすくなり、それ以降は汗のかきやすさのペースが緩やかになるようです(90℃相対湿度5~15%のサウナを15分3セット行った場合)。

サウナは熱中症予防になる

 サウナに入ると汗をかきやすくなるということは、体内に熱がこもらず、体温上昇が抑えられるようになるということです。これは、つまり「熱中症になりにくくなる」ことだと言えます。

 熱さに体が慣れることを「暑熱順化」と言い、熱中症や夏バテは「暑熱順化」がうまく行かないために起こります。
 サウナに入ると「暑熱順化」に好影響があるという研究も複数あります。まとめると、サウナに入ることで

・体温の上昇が緩やかになる
・体温の上昇が抑えられる(論文によって異なるが、0.2~0.4℃程度)
・1回のみでも効果があるが、習慣的に入ったほうが効果が高い

 サウナに入って、夏バテ知らずの体になりましょう。

*本記事は、「医者が教える 究極にととのうサウナ大全」から抜粋・編集したものです。