生徒が興味を持つ社会・地理の授業に向けて、あえて未成熟で隙のあるアイデアを提案します。こうしたアイデアは、生徒や教員がさらに発展させることができるため、授業の準備段階での創造性を促進します。
地図に隠された物語
概要:生徒たちが古い地図を使って、その地域の歴史に隠された物語を発見するプロジェクト。生徒は地図上の特定の地点に関連する歴史的出来事や人物を調査し、その情報をもとに物語を作成する。
隙:どのような地図を使用するか、どの時代や地域に焦点を当てるかは明確にしない。生徒や教師が自由に決められるようにする。
虚構の国を創る
概要:生徒たちが自分たちで虚構の国を創り出し、その国の地理、文化、政治体制を設計する。このプロジェクトでは、生徒は地理の知識だけでなく、社会構造や文化的側面についても深く考える必要がある。
隙:国の規模や場所(惑星内、惑星外)、時代設定は明確に定めない。創造の過程で生徒が決定することにする。
時間旅行プロジェクト
概要:生徒が時間旅行者になり、過去または未来の特定の時点を訪れる。その時代の社会や地理について調査し、現代との比較を行う。プレゼンテーションやレポートを通じて、自分たちの発見をクラスに共有する。
隙:旅行する時代や場所は指定せず、生徒が興味を持つ任意の時点を選べるようにする。また、どのようにしてその時代の情報を「収集」するかの方法もあえて具体的には示さない。
環境変化マッピング
概要:生徒たちに地球上の特定の地域を選んでもらい、過去数十年間でその地域の環境がどのように変化したかを調査させる。変化の原因と結果を理解し、将来への影響を推測する。
隙:どの地域を選ぶか、どのような環境変化に焦点を当てるか(気候変動、都市化、自然災害など)は、生徒に委ねる。
これらのアイデアは、あえて詳細を曖昧にしているため、教師と生徒が自由に発展させる余地を残しています。授業の目的や生徒の関心に応じて、さまざまな方向に拡張することが可能です。
どれも面白いアイデアじゃないですか? 各回答の最後に「隙」の項目が入ってますが、これはご愛嬌です(でも次のアイデアへのきっかけになりそうです)。そのままでも使えそうですが、人間側も負けじとアイデアを追加して、人間とAIとで始まる「1人ブレインストーミング」をするのもいいでしょう。
知人の地理教員に聞いてみたところ、暗記学習からどうやって脱するかに悩んでいるとのこと。今回出たアイデア群をネタに、実際に教員や、あるいは授業デザインに興味のある学生たちを交えてアイデア会議をしたら、新しい地理の授業が生まれること請け合いです。
課題に直面したときは、技法その3「隙のあるアイデア」をぜひ活用してみてください。
(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。この他にも書籍では、分析、発想、発展、具体化、検証、予測といった“頭を使う作業”にAIを活用する方法を多数紹介しています)