
従業員を評価する上では、評価の基準や理由が明確であることがとても重要だ。しかし、それだけでは不十分だ。今年発表された興味深い研究結果をもとに、その理由を見ていこう。(山田進太郎D&I財団COO 石倉秀明)
評価制度を良くすれば
社員は頑張ってくれるのか?
会社員として働いている人であれば、何らかの「評価」を受けている人がほとんどではないかと思う。半期に1回の目標設定とそれに対する評価面談がある会社が多いかもしれないが、そうでなくとも、四半期ごとや年1回など会社のペースに合わせて評価を受けるのが一般的だ。
また、管理職もしくは会社役員の場合、評価をする立場の人もいるだろう。その時に、納得感の高い評価制度を作れば、従業員が頑張って働いたり、モチベーションが高い状態で頑張ってくれたりすると信じている人も少なくないはずだ。
「評価」には、不平や不満がつきまとう。同僚と比較して、「なんであの人は私より評価されているのだ」と感じる人もいるだろう。
しかし、それよりも問題なのは、「上司や会社は何を評価しているのかわからない」「自分では頑張ったつもりだが全然評価には反映されていなかった」というケースだ。そういった経験をする従業員はその後、会社を去ってしまいかねない。
だからこそ「評価」は、それそのものよりも納得感が重要である。
そう考えて、評価の透明性(どういう人が評価されるのか、自分はどの部分が評価されていて、まだ課題がある部分はどこなのか)を高めよう、明確な評価制度を作ろうと考えている会社は少なくない。また透明性が高いこと、評価基準が明確なことは働く人にとっても管理職にとっても安心して働く要素につながるだろう。
しかし、評価の透明性を上げていくことは、会社にとっては一定のコストがかかる。評価基準を明確にしていく必要もあるし、フィードバックするためにはよく部下のことを見ていなければいけない。