仕事に疲れた自分を救う“ひとつの哲学”
101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心も元気にしてくれる!
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いつも「いちばん」だった
4月生まれの私
私は1923(大正12)年4月9日生まれですが、同じ学年の中ではたいていいちばん早い生まれでした。
小学校に上がって、すぐに7歳になる「4月生まれ」と、ようやく6歳になったばかりの「3月生まれ」では、同じ学年とはいえ、幼いころは大きな差がありますよね。
4月生まれのうえ、長子・長女だった私は、やはり他の子よりはマセていたのだと思います。
終生変わらない
ライバルは「自分だけ」という哲学
綴り方(作文)やお裁縫の「運針」などは得意中の得意で、提出するのはクラスの中で私がいちばん先でしたし、「上手にできている」と褒められてもいました。
あまり意識はしていませんでしたが、なんとなく「自分はいろんなことでいちばんが取れて当たり前」と思っていたのかもしれません。
「他人との比べっこ」をやめる
おそらく、負けず嫌いなのでしょう。ただ、誰かと自分を比べて「◯◯さんに負けたくない」というのではなく、「自分ができないのが悔しい」とあくまで自分をライバルにしていたように思います。
この「ライバル視するのは自分だけ」というのは、終生変わらない私の根幹にある考え方です。職場のように容易に人の仕事の成果がわかる場所にいると、つい人と自分を比べがちですよね。それでストレスをため込んだりして……。
「自分比」という尺度で考えてみる
でももしかしたら、それ以前にものごとを「自分比」で考えてみることで、「他人との比べっこ」をやめることができるかもしれません。尺度はあくまでも「自分」にするのです。
昨日の自分よりも今日の自分は成長しているか、成長できていないと感じるのならばそれはなぜなのか? そんなふうに考えるようにすると、他人に向けがちだった目が自分に向き、むやみに人のことが気になることもなくなっていくように思います。
【解説】「自分比」で測る、持続可能な成長
他者比較の罠から「自分軸」の成長へ
著者のトモコさんが語る「ライバルは自分だけ」という哲学は、変化が激しく、成果が可視化されやすい現代のビジネス環境で働く私たちにとっても、非常に重要な示唆を与えてくれます。
私たちは職場で、同僚の成果や昇進、あるいはSNSで目にする他人の活躍と自分を比較し、焦りやストレスを感じてしまいがちです。しかし、他人の物差し(=他人軸)で自分の価値を測ろうとすると、本来の自分の強みや、本当に大切にすべきことを見失いかねません。
トモコさんの言う「自分比」とは、評価の基準を他人から自分自身へと取り戻す、まさに「自分軸」の尺度です。
「昨日の自分」をベンチマークにする
ビジネスにおける「成長」とは、他人を追い抜くことだけが全てではありません。大切なのは、「昨日の自分」よりも一歩でも前に進んでいるかどうかです。例えば、
・先週はできなかった顧客対応ができた
・1ヶ月前より深く業界知識を語れるようになった
といった具体的な「自分比」での成長に目を向けることが重要です。この小さな成功体験の積み重ねこそが、「自分はできる」という自己効力感(自信)を育みます。
内なる成長が、折れない心をつくる
他人からの評価(外的動機づけ)に依存していると、評価が得られない時にモチベーションが続かなくなったり、過度な競争で燃え尽きてしまったりする危険があります。
一方で、「自分比」での成長(内的動機づけ)を実感できることは、困難な課題に直面した時の「折れない心の支え」となります。
トモコさんが「終生変わらない根幹」と語るこの哲学は、持続可能なキャリアを築き、自分らしく働き続けるための普遍的なヒントと言えるでしょう。まずは今日の業務の中で、一つ「昨日の自分を超えた点」を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。









