「僕らの大学からだと学歴フィルターで落ちるから大企業には入れないよ」本当にそうなのでしょうか?
新刊『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、学歴に関係なく誰でも使える、面接で受かる一つのコツについて、著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

就活 新卒Photo: Adobe Stock

「学歴フィルターで落とされるし大企業には入れないよ」

「僕らの大学からだと就活を頑張ったとしても大企業には入れないよ」

当時、偏差値50の地方の私立大学に通っていた僕が友人にかけられた言葉です。

「学歴フィルターにかけられるかもしれないなかで、大企業を目指すのは意味ないのではないか?」というのが友人の主張でした。

周囲が就活に本腰を入れないなか、この大学から大手企業に入れないかを模索していました。

一つ「これをしたら受かる」という方法が見つかったのです。今回は、誰もが使える逆転の方法についてみていきましょう。

新卒就活では謎のリーダーがたくさん現れる

僕が就活をしていた頃、ある企業の集団面接でこんなことがありました。学生時代に力を入れたこと(通称ガクチカ)を聞かれたときのことです。

「私は飲食店でのアルバイトリーダーを務めており…」
「私は大学のサークルで副リーダーを経験し…」
「私は塾講師のアルバイトでリーダーをしており…」

僕の前に話した3人、全員がリーダー・副リーダーの話をするのです。

それに対して、僕はこう回答しました。

「私が学生時代に力を入れたことは、挨拶です」と。

正直、アルバイトリーダーの経験もないですし、長期インターンも留学も、すごい経験は何もしてません。サークルも入っていない始末です。

だからこそ、挨拶という日常の話をしたのですが、それが人事に刺さって面接を突破しました。

なぜリーダーが沢山現れるのか?

「ホワイト企業ナビ」という求人サイトを運営するなかで、人事の方と話す機会があります。彼らから、就活でアルバイトリーダーの話や、サークルの副リーダーの話をする人が多いという話を聞きます。

では、そもそもなぜ就活では「リーダー」がたくさん現れるのでしょうか。

その理由はシンプルで、企業は新卒にリーダーシップを求めているという強いイメージを就活生が持つからです。

実際、さまざまな調査で新卒に求める資質としてリーダーシップが挙げられ、リーダーシップのある人材が求められるのは事実です。

ですが、それは「本当にリーダーシップ」を強みとして持つ人の話で、仮初(かりそめ)のリーダーシップを企業は求めていません。

それにもかかわらず、リーダーシップが最大の強みだと本音では思っていない人も、「リーダーシップが評価されるからリーダー経験を話そう」とします。

その結果、他に素敵な資質を持っている人もアルバイトリーダーの話をするのです。極めつけは、本当はしていないのにアルバイトリーダーや、サークルの副リーダーを経験したと話す人も多いようです。

それでは適性を測るための面接が、本末転倒になってしまいますよね。

リーダーシップに自信がない人は無理をする必要はない

求人サイトに関連する取材をした際に、求人を出されている企業の方々から頻繁に「素直な人を採用したい」という声をいただきました。これは他の多くの企業に取材していても聞くことです。

就活生は、まさにこの「素直さ」に目をつけるべきなのです。

例えば、他の就活生が「自分はすごいです!リーダーシップがあります!」と話す中で、「正直にお伝えすると私はリーダーシップに自信はありません」と話します。こうすると、素直さを感じませんか。

そして、正直に話すことで「リーダーシップには自信がないけど、この能力なら自信があります」という本来の強みの話に、説得力が出てくるんですよね。

他にも、多くの就活生が弱みを「強み」っぽく話すなかで、「一度決めたら他のことを考えられなくなることが弱みです。いろいろ改善しようと試みましたが、正直、改善できません」と話すなど、逆の戦略をとるのです。

著書『脇役さんの就活攻略書』では、僕のような学歴も実績も自信がない脇役タイプの就活生でも、就活なら評価される方法があることを解説しています。

その根幹となる戦略の1つが、この「正直さ」「素直さ」という人柄で勝負することです。

就活はすごいアピール競争ではありません。就活の目標は自分に合う企業を探すことです。その意味で、嘘をつく必要はないですし、仮にちゃんと選考対策をして不採用になったなら「自分に合わない企業だっただけ」と考えることができます。

僕らは受験に慣れてしまっているので、どうしても就活を受験と同じに考えてしまいます。受験であれば「テストの点数」という1つの指標で決まるので、仮に落ちたら自分の努力不足、実力不足と認めざるを得ません。

ですが、就活は違います。どれだけリーダー経験のあるすごい人でも、企業によっては「すぐに独立しそう」だとして不採用にされます。

こうした就活の本質を押さえ、少しでも就活のその“余白”に対して、「面白い」と思える就活生が増えたら嬉しいです。

(本記事は『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです